鷹です。
30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。
越境学習という言葉を聞いたことありますか?
越境学習とは、所属する組織を越えて異なる環境に身を置くことで、新たな視点や学びを得る学習方法のことを言います。
私は公務員こそ越境学習すべきだと考えています。
その理由を解説します。
越境学習とは?
越境学習とは、所属する組織を越えて異なる環境に身を置くことで、新たな視点や学びを得る学習方法のことを言います。
「越境学習入門」(著者:石山恒貴/伊達洋駆)では、ホームとアウェイを行き来することによる学び、と定義されています。
代表的な方法として、
- 他企業や非営利法人への出向
- 社外の勉強会やワークショップへの参加
- ビジネススクールや社会人大学の受講
- ボランティア活動やワーケーション
などがあります。
越境学習のメリット
越境学習には、学習者当人にとってメリットがあるのはもちろんのこと、当人が会社員であれば、その人が所属する企業にとってもメリットがあります。
越境学習者当人にとってのメリット
越境学習者当人にとっては、以下のようなメリットがあります。
- 転職といった大きな意思決定や生活の変化を伴わずに新しい挑戦や経験ができる
- 自分とは異なる環境の人たちと接することができる
- 自分自身や、自分の現在の勤務先について客観視できる
- 新しい人脈を作ることができる
越境学習を経験することで、勤務先では経験できないことに挑戦することができたり、また普段交流することがない人たちと触れ合うことで、新しい視点を得ることができます。
よく「会社の常識は世間の非常識」と言われますが、越境学習することで、自分の常識が世間の常識とズレていないか、世間では一体どんなことが「普通」なのかなどを知ることができます。
そうすることで、客観的に自分を顧みることができ、仕事への向き合い方が変わったり、新しいことへのチャレンジ精神が生まれたりします。
企業にとってのメリット
越境学習者が所属する企業にとってもメリットがあります。
- 効率的に新しい情報やノウハウを取得できる
- 人材の流出を防ぐ
- 次世代リーダーの育成につながる
企業は、越境学習者が外で得てきた知見を自社に取り入れることができます。
また、越境学習者は、学習を通じて新たな知見を身につけることができ、「自社に所属しながらも新しい挑戦ができる」ことを理解するため、自社内で活躍する人材となることができます。
それが次世代リーダーへの育成ともつながっていくのです。
公務員こそ越境学習
このような越境学習ですが、公務員こそ越境学習すべきです。
その理由と、私が考える越境学習で得た新たな知見の活用の仕方をお伝えします。
公務員こそ越境学習すべき理由
公務員こそ越境学習すべき理由は、公務員の世界は外からの空気が入りづらいため、新しい視点、考え方、経験などを得るためには外の世界に触れる必要があるからです。
実際に私が見てきた職場では、世間との接点が少ない職場ほど感覚が前時代的だと感じました。
世間との接点が少ない職場というのは、直接国民や事業者と接触し、国民の生活や経済活動を直に見る機会が少ない官庁のことを言います。
“有識者”とばかり会談していても、ほんとうの意味での実態はわかりません。
そういう職場の人たちは、世間の空気に触れる機会が少ないために、なかなか考え方が更新されません。
職員自身が越境学習をすることで新たな知見を身につけ、また職員に越境学習させることで職場に新しい風を吹き込むことが必要です。
“越境学習者は二度死ぬ”と言われる
ただ、そうは言っても簡単なことではありません。
前述「越境学習入門」(著者:石山恒貴/伊達洋駆)では、「越境学習者は二度死ぬ」という表現が出てきます。
これは、越境学習のプロセスにおいて学習者が経験する2つの重要な葛藤や困難を比喩的に表現したものです。
一度目の「死」は、越境活動中。
これまでの自分の常識が通用しない、使う言葉が違う、考え方が違う、そしてぶつかる。
ここに衝撃(=死)を受けます。
しかし、少し経つとその違いを理解し、受け入れられるようになり、協力して問題解決に取り組むことができるようになります。
これが一度目の死を乗り越える瞬間です。
これまで自分が持ち得なかった視点、考え方などを身に着け、一段高い視座を持つことができるようになるのです。
そうすると自分自身の可能性が広がり、次のチャレンジへのハードルも低くなり、どんどんと新しいことに挑戦していくことができるようになります。
そして「死ぬ」機会も減ります。
だって、他者とは違うということがもうわかっていますからね。
このように大きな成長の起点となる一度目の「死」は大変有意義なものと言えます。
そして二度目の「死」は越境学習から戻ったあとです。
越境学習で得た経験、知識、スキルを現職でも活かそう!と息巻いてしまうと、周りの人から「急になに?」「突然そんな暑苦しいこと言われても困るよ」「今までどおりよろしくやっといてよ」という反応を受けてしまい、これに衝撃(=死)を受けます。
急に今までにないことを言い出して大きな変化を起こそうとすると反発が起きることは仕方ありません。
なので、ゆっくり時間をかけて考え方を浸透させる、みんなが聞き慣れない言葉を使わない、といった小さな工夫が必要で、その積み重ねで少しずつ変えていく…という取り組みが必要です。
越境学習で得た知見の活用方法
このように、わざわざ二度の「死」を経験することになる越境学習ですが、私はもっと効率よく越境学習で得た知見を活用する方法があると思っています。
それは、二度目の死を経験しないことです。
二度目の死を経験しない=越境学習で得た知見を現職で活かそうとしないことです。
え!!?
と思った方もいるかもしれませんね。
これではせっかく越境学習したのにその意味が削がれてしまいます。
でも私が「越境学習で得た知見を現職で活かそうとしない」ことを勧める最大の理由は、
越境学習で広い視野、高い視座を持てる人材を、その視座を持てない組織に置いておくのはもったいないと考えるからです。
他人や組織を変えるのは大変な労力が必要なことですし、労力だけでなく精神もえぐられることも多くあります。
だって、組織を良くしようと思って業務改善であったり新しい企画を提案するのに、誰もまともに受け止めようとしないことがほとんどですから。
残念ながら、公務員とはこういう世界です。
せっかく越境学習という貴重な経験を自らの意思で得たというのに、黙って二度目の「死」を受け入れる必要がありますか?
私は、越境学習で得た知見やあなた自身のその姿勢・人柄を受け入れてくれる組織へ身を移した方がいいと考えます。
「違うこと」「知らないこと」を積極的に受け入れて、組織の成長につなげようとしている組織はあります。
現に、私が転職した先もそうです。
今のやり方に固執しない、違う考え方も一度は受け入れ咀嚼する、そういう文化があります。
そういう組織であれば、越境学習で得た知見を存分に活かすことができます。
もちろん、結果的にこの組織ではそのやり方・考え方は合わないね、という結論になることもありえます。
重要なことは、越境学習で得た知見をそのまま活かすことができるかどうかではなく、活かせるかどうかを検討できる組織風土があるかということです。
公務員の方が、越境学習で得た新しい知見は、公務員(お役所)ではない場所で活用することをおすすめします。
まとめ:二度も死ななくていい!
結論は、公務員こそ越境学習をした方がよく、越境学習で広い視野、高い視座を持てるようになった人は、公務員の組織から飛び出したほうがいいというお話です。
こちらの記事でも触れましたが、優秀な人にとっては公務員は最適解ではありません。
新しく得た知識、経験をどんどん取り入れ、世の中の情勢や進化に合わせて組織も変わっていくべきなのですが、公務員はそれを受け入れない風土がまだ色濃く残っています。
トップでは議論されることはあっても、現場では現状維持を貫く猛者たちが多く、変化・改善をしようとする人たちの方が誰からのフォローもなく劣勢に追い込まれています。
優秀な人が、そんな組織に潰されてしまってはもったいなさすぎます。
越境学習で一度目の「死」を経験したあなたには、二度目の「死」を経験しなくても、その知識と経験を活かして羽ばたける場所を見つけてほしいと思います。
★転職活動をしてみようかなと思った方!次の記事でおススメの転職サイトと転職エージェントを紹介しています。
コメント