鷹です。
30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職しました。
その後40代になって民間企業へ転職しました。
いろんな経験、いろんな悩みを経て民間企業へ転職することを決断し、今は裁量があって自由な働き方をしています。
自分の転職経験を基に、転職したい、今の仕事を辞めたいと考えている公務員のお悩み解決のお手伝いができればと思っています。
公務員だけど仕事辛い…辞めたいな…
でも公務員の仕事は楽だって言われるよね。辞めたいなんて、贅沢なのかな。
その気持わかるよ。でも公務員の仕事って本当にそんなに楽なのかな?
公務員の仕事は楽?
一般的に、公務員の仕事は楽だと思われています。
その理由は、安定した雇用環境や充実した福利厚生があり、ワークライフバランスが実現しやすいというイメージがあるためです。
また、売上達成というノルマもないため、公務員の仕事は楽だと思われがちです。
ただし、実際には公務員と言ってもその仕事内容は多種多様で、「楽に見える」職種も一部あることは事実ですが、ほとんどはハードな仕事です。
そのため、公務員の方でも「辛い」、「辞めたい」と考える人はたくさんいます。
公務員の仕事のどんなところが辛いのか、どういう風に対処すればよいのか解説していきます。
公務員の仕事が辛いと感じる理由
まず、一般的に考えられる「公務員の仕事が辛いと感じる理由」は次の3つかと思います。
・長時間労働
・キャリアパス
・給与
長時間労働
最近、公務員の長時間労働が問題になっています。
公務員の仕事は楽だと思っている人は、「長時間労働と言っても大したことないんでしょ」と思われるかもしれませんが、まったくそんなことありません。
国家公務員の超過勤務実績については、人事院が次の資料を公表しています。
「国家公務員の平均年間総超過勤務時間数」については直近5年間について公表されていますが、最新の調査結果「令和5年調査(令和4年1月〜12月)」について見てみます。
本府省・本府省以外(地方局など)を合わせた平均が、「年間220時間」
→これを1年間(12ヶ月)で按分すると、一月あたり18.3時間。概ね、1日1時間程度。
これが「本府省」に限定してみると「年間397時間」となっています。
→これを1年間(12ヶ月)で按分すると、一月あたり33.1時間となります。概ね、1日1.5時間程度。
この2つを見ると、大したことがないように見えますね。
毎日1.5時間の超過勤務は大変ではありますが、「ブラック霞が関」と言われるほどか?って思っちゃいます。
ただし、次の項目である「国家公務員の超過勤務時間の時間階層別職員割合(令和5年調査(令和4年1月~12月))」を見ると、その実態は違うということが言えます。
令和5年調査(令和4年1月〜12月)における本府省勤務の人で、超過勤務時間が年間360時間を超過している割合は「48.1%」。ほぼ半数です。
上記の「年間397時間」は、「年間360時間以下」の人が半数、「年間360時間超」の人が半数を占めている数値です。
しかも「721時間超」の人が13.7%もいます。
年間721時間は、一月あたり60.1時間です。これはもう一日3時間以上の超過勤務を毎日していることになり、非常に負担でしょう。
キャリアパス
国家公務員には様々な職種がありますが、総合職でも一般職でも、そのスピードに違いはあれどキャリアパスは概ね一致しています。
係員→係長級→課長補佐級→室長級→課長級→特定管理職・・・
ただし、「役職」は上記のようにアップしていきますが、定期人事異動で様々な「職種」を経験することになります。
例えば、
係員(A部署)→係長級(B部署)→課長補佐級(C部署)→室長級(A部署)→課長級(D部署)・・・
といったようにです。
いきなりC部署の課長補佐になっても、C部署の仕事は経験したことがないので、業務内容はゼロから覚えることになります。
そういう定期人事異動を繰り返し、最終的に「その省庁での仕事が広く浅く理解できている人」という中途半端なキャリアができあがることになります。
せっかくとある部署で専門的な知見を身につけ、それを伸ばしていきたいと考えても、定期人事異動で阻まれます。
専門性を磨きにくいことや、公務員の外に出た時に使いようがないスキル(ノンポータブルスキル)ばかり身についてしまいます。
給与
国家公務員の給与は、民間企業の動向を踏まえて決定していますが、一般的には高給と言われています。
ただし、めちゃくちゃ頑張っている人とそうでない人の「差が少ない」という特徴があります。
めちゃくちゃ実績を上げても多少ボーナスが上がる、多少昇給率が上がる、多少出世が早いと言ったように、すべて「多少」良い程度です。
また、年功序列制度が残っている組織体系ですので、非常に頑張っていて優秀な若手より、そこそこに(何ならそこそこ以下)働いている普通の中高年の方が給与は高くなっています。
努力と成果に報いる給与体系になっていないため、優秀な人ほど損していると言えます。
私が考える公務員の仕事が辛いと感じる理由
次に、国家公務員として20年弱勤務した私が個人的に考える「公務員の仕事が辛いと感じる理由」について触れます。
・古い感覚から脱却できない
・コスト意識が低い
・定年後につながるスキルが身につかない
古い感覚から脱却できない
お役所は古い感覚から脱却できていません。
例えば、外部の人向けの説明会や研修、外部の人との打ち合わせ。今はオンラインがほとんどだと思います。
でも私が所属する組織は全て対面実施でした。
なので私から「オンラインで実施したい」と上司に提案したところ、
「なんで?」
「オンラインにすると嫌がられるんじゃない?」
といったことを言われました。
感覚が違いすぎてびっくりしました。
今や何かのセミナーを受講したいと思えばオンラインだし、転職する際の採用面接だってオンラインです(最終面接までオンラインというところだってあります)。
もちろん、趣旨によっては対面で実施すべきものもありますが、このときオンラインを提案した説明会は、対面である必要性は乏しいものでした。
なのに、オンラインを導入することのメリットも必要性も理解せず、むしろオンラインの方がマイナスになるのでは、と考えているのです。
お役所の上層部というのは未だにそのレベルなのです。
そして全てにおいてそうなのです。
業務を効率的に進めるために新しい方法を提案しても受け入れられず、従来のやり方を暗に強要される。
仕事をしていても全く成長している感覚が得られませんでした。
コスト意識が低い
こんなこと言って申し訳ありませんが、この点については優秀な官僚もそうでない一般職員もみんな該当すると思います。
例えば、
・「ペーパレスに努めよう」という話はあっても、誰も印刷を省略しない。
→大量にミスプリントしてしまっても誰も気にしない。上司も指摘しない。
(民間だと)
・その印刷必要?
・必要なら印刷してもいいけどカラーである必要ないよね?」
・研修を計画しても、業務の調整もせず受講しない。
→内部研修も外部へ委託する研修もコストがかかっているという意識がない。
(民間だと)
・研修にはコストがかかっているから必ず受講するよう指示がある。
・業務の調整がつかず受講が難しい場合は事前に報告を求める。
・必要性が低いダラダラ残業が暗に許容されている。
→本当にその残業が必要なのか考えない。
(民間だと)
・何にそれだけ時間かかってるか確認される(何か引っかかっていることがあるならそれについての指導やレクチャーを実施して業務を進める)
私自身、お役所の中にいる間は「利益を求めていなくても、かかる費用は税金から出ている。だから無駄は出さないようにしよう」と考えていましたが、転職した今思い返せば、やっぱり民間企業と比較すると、圧倒的にコスト意識は低かったと感じます。
お役所は予算というものが決まっていて、事前に決定した予算の範囲内であればどれだけ使ってもよいですし、余らせると翌年予算が減額されてしまうので、むしろ「余らず使い切る」ことが最善だと考えます。
そもそも余るくらいなら予算が減額されたって問題ないはずです。でもお役所というのは「既得特権」を失うことを極端に嫌がる傾向があります。
なのでコスト意識の低さは当面改善することはないのではないでしょうか。
定年後につながるスキルが身につかない
これが一番辛いと感じた点でした。
国家公務員といってもその職種によっては該当しないものもありますが、定年後につながるスキルが身につかないということが精神的に大きな負担でした。
経験を積み重ねるほどに仕事ができるようになり、評価されるようになり、出世コースにのっていくのですが、「その先」に何があるのか?
私は体が元気なうちは生涯現役で働き続けたいと考えています。
なので、働く人生のゴールに定年なんて見据えていません。もっとその先まで考えていました。
現役時代にこんなに仕事を頑張って、長時間労働にも耐え、たどりついた先にあるものは、組織を離れたら役に立たないスキルだけ。
組織の中で必要なスキルはどんどん身についていきますが、定年を迎えて組織の外に放り出されたらそのスキルはとたんに使い物にならない。
人は頑張った先に得られるものがあるからこそ頑張れるのではないでしょうか?
定年までいかに出世しているかがゴールであれば頑張れたかもしれません。でも私は定年の先を考えていたので、このまま公務員として仕事を続けても得られるものはないと考えるようになりました。
公務員の仕事が辛いと感じたらどうしたらいい?
公務員の仕事が辛いと感じる場合どうしたらいいのか、私が考える対処法は以下のとおりです。
異動希望を出す
環境を変えるというのは一つの方法です。
長時間労働に苦労しているのであれば、残業が少ない部署への異動を希望する。
外で通用するスキルが身につかないと悩んでいるのであれば、外でも使えるスキルが身につく職種の部署へ異動を希望する。
ただし、異動希望は必ず叶うとは限りませんし、異動することで組織の中での出世コースから外れる可能性もあります。
組織に所属する限りはできるだけ出世したいと考える方にとっては、必ずしも異動希望がベストの選択肢とはならないことは留意する必要があります。
ボランティアやプロボノなど、組織の外で活動を行う
今の職場にいつづける限りはスキルが身につかないと感じる場合は、外の組織でスキルを身につけることをおすすめします。
ボランティアやプロボノなどに参加することで、今まで知らなかった社会課題に出会い、その課題解決のために取り組むことで、実は世の中から必要とされているスキルが身につくかもしれません。
またそこで出会った人とのコミュニケーションで新しく学ぶこともたくさんあります。
もちろん、ちょこっと活動しただけでスキルが身につくということではありませんが、「その後」につながる何かに出会える可能性は非常に高いです。
今の仕事が辛いと感じるのであれば、一度外に目を向けてみるといいと思います。
転職活動をする
ここは転職を応援するサイトですので、やはり「転職」は選択肢として紹介させていただきます。
ただし、ここでは「転職」そのものではなくて「転職活動」をおすすめします。
今の仕事が辛いからっていきなり「転職」しようとはならないでしょう。転職なんてリスクが大きいし、そもそも公務員として働き続けて、今さら他の職場へ転職して使い物になるのか?という不安もあると思います。
ですので、最初は「転職活動だけ」を行ってみるといいと思います。
実は、転職活動するだけでとても視野が広がります。視野が広がると、これまで思いつかなかった選択肢に出会えるようになります。
世の中にはこんな仕事(サービス)があるんだ。
今はこういう職種の求人が多いんだ。ということはこの仕事が今アツいのか。
これはほんの一例ですが、ほかにもたくさん世間のいろんな事実に気がつくようになります。
そうすると、今まで「公務員以外に自分にできる仕事はない」「何ができるかわからない」と考えていた人も、「これなら私にもできるかもしれない」「こんな仕事があるならやりたい!」と考えられるようになります。
実際に私がそうでした!
転職活動する前までは自分に何ができるかわからず、なんとなく転職活動を始めたのですが、いろんな求人を見ている中で、「あ、これ業務の中でやったことある。民間企業でもこういう仕事あるんだ!」と知り、それが巡り巡って今の仕事につながっています。
仮に定年まで公務員を続けるとしても、幅広い視野で世の中のいろんな情報を吸収しながら続けていくことと、公務員以外の世界に興味を持たずに続けていくのとでは雲泥の差があります。
後輩や部下から見て、旧態依然にしがみつく先輩(上司)と、新しいことをどんどん取り入れて組織改善に努めている先輩(上司)、どっちについていきたいですか?
後者の方が圧倒的に信頼される上司になるはずです。
★転職活動をすることのメリットについて、こちらの記事で紹介していますので、ぜひ見てみてください!
まとめ
以上、公務員を辞めたい、仕事が辛いと感じる理由とその対処法について解説しました。
真面目に自分の人生を考えている人にとっては、公務員の仕事が辛いと感じるのは当たり前のことです。
今の日本が抱えている問題(少子化、人材不足、多様化、AI、その他…)を考えると、少なくとも「今のまま・今までのまま」ではどうにもならないことは目に見えています。
そういうことに気がついている人は、公務員の仕事が辛い、辞めたいと考えるようになるのかもしれません。
★転職活動に興味を持った方!次の記事でおススメの転職サイトと転職エージェントを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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