公務員と民間企業、どっちが自分に合ってる?働き方の比較

30代後半公務員の転職

鷹です。

30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職しました。

その後40代になってから民間企業(IT企業)へ転職しました。

いろんな経験、いろんな悩みを経て民間企業へ転職することを決断しました。

自分の転職経験を基に、転職したい、今の仕事を辞めたいと考えている30代公務員のお悩み解決のお手伝いができればと思っています。

コロナ禍以降、官公庁でもテレワークが進んだけど、仕事に必要な資料が職場にあるから、結局テレワークできないんだよね。

制度があることと実施することは違うからね。

民間企業はもっとテレワークが進んでいる印象だけど、実際どうなんだろう?

公務員と民間企業の働き方の違いを見てみよう!

国家公務員と民間企業の働き方の基本的な違い

国家公務員と民間企業との働き方について、基本的な違いに触れてみたいと思います。

雇用形態

まずは雇用形態についてです。

国家公務員:常勤職員/非常勤職員

民間企業:正社員/契約社員/派遣社員など

国家公務員は、常勤職員と非常勤職員の2パターンしかありません。

ただし、常勤職員の中には「任期付職員」といった任期の定めがある採用形態もありますが、国家公務員に関するあらゆる法律は一般の職員と同様に適用されます。

勤務時間

次に、国家公務員と民間企業職員の勤務時間についてです。

正規の勤務時間

国家公務員の勤務時間は7時間45分です。

これは「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」(勤務時間法)で、1週間あたりの勤務時間が「38時間45分」と規定されているところからきています。

一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律

第5条(一週間の勤務時間)
職員の勤務時間は、休憩時間を除き、一週間当たり三十八時間四十五分とする。

e-Gov(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律)

民間企業の勤務時間は企業によって異なりますが、法律で定める労働時間(法定労働時間)は8時間が上限となっています。

これは、「労働基準法」にて、1週間当たりの勤務時間が「40時間を超えてはならない」と規定されているところからきています。

労働基準法

(第32条)
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない

e-Gov(労働基準法)

ただし、40時間以下であれば何時間であっても問題ありません。

そのため、企業によっては、正社員でも週35時間(1日当たり7時間)の勤務時間というところもあります。

国家公務員は「一週間当たり38時間45分」と言い切られているため、これ以上もこれ以下も認められません。

※フレックスタイム制を利用した場合を除く。

超過勤務時間

国家公務員の超過勤務は、人事院規則15-14にて次のとおり定められています。

人事院規則15-14

第16条の2の2
一箇月において超過勤務を命ずる時間について四十五時間
一年において超過勤務を命ずる時間について三百六十時間

e-Gov(人事院規則15-14)

上記の基準を両方とも満たさなければならないため、一月当たり45時間の超過勤務を毎月続けることはできません(45時間の超過勤務を一年間続けたら年間の超過勤務時間が540時間になってしまい、「360時間」という基準を超過してしまうため)。

次に、民間企業の超過勤務についてですが、労働基準法に次のとおり定められています。

労働基準法

第36条(時間外及び休日の労働)
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる

前項(省略)の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする

e-Gov(労働基準法)

民間企業においては、事前に使用者と労使協定を締結しなければ超過勤務させられないこととなっています。

そしてその超過勤務時間の限度時間は、1月当たり45時間及び1年間当たり360時間となっており、ここは国家公務員と同じです。

なお、国家公務員も民間企業も、更に他の規定を適用することで、この上限時間以上の超過勤務が可能となっています。(霞が関勤務の国家公務員は、むしろそっちの方がスタンダードになってしまっています)

公務員の働き方の特徴

続いては、働き方の特徴について触れていきます。

安定性

公務員の働き方の特徴と言えば、何と言っても安定性でしょう。

公務員の安定には、雇用の安定と収入の安定の2つがあります。

雇用の安定:国家公務員は身分が保障されており、不景気や税収減といった理由で解雇されることはありません。

収入の安定:普通に働いていれば、基本給が下がるということはまずありません。(勤務成績が不良だとボーナスが低率支給となったり、昇給が抑えられる可能性はあります。)

リストラされる可能性がない、給料が下がる可能性がないというのは、このご時世には大変恵まれた環境です。

仕事内容

国家公務員の仕事を一言で表すと「国が実施する政策を企画・立案し、それを実行すること」。

ひらたく言えば、「安全で住みやすい社会を実現すること」でしょうか。

そのサービスの対象は日本全国、そして日本国民全体であり、ダイナミックで重要な仕事と言えます。

ただし、国家公務員全てがそのようなダイナミックな仕事に直接従事できるわけではありません。

実施した政策の効果を図るため、地道な調査や分析をする仕事もありますが、最終的には「安全で住みやすい社会の実現」に繋がっています。

キャリアパス

省庁ごとに多少の違いはありますが、概ね似たようなキャリアパスになっています。

一般的には

係員→係長級→課長補佐級→室長級→課長級→特定管理職

というキャリアパスになっています。

また、省庁ごとに「係長級」、「課長補佐級」、「室長級」等…それぞれの中でもいろんな職種があります。

総合職と一般職で昇進のスピードは変わりますが、基本的には年功序列であることは共通です。実績が認められて年次を超えて大幅に昇任するということは今のところありません。

能力主義・実績主義を取り入れようという動きはありますが、実現するのには相当な時間がかかると思います。

民間企業の働き方の特徴

多様性

グローバル化が進み、多くの企業が海外展開を行っています。そのため、従業員の国籍や文化が多様な企業が増えています。

また、性別、年齢、性的指向、障害の有無などに対する理解が進みつつあり、様々な特徴を持った人が一緒になって働ける環境です。

そして、勤務形態についてもかなりの多様性が認められています。

例えばリモートワーク、フレックスタイム、副業・兼業の許可など、国家公務員と比較して民間企業はその勤務形態も多様かつ柔軟です。

国家公務員にも同様の制度がありますが、適用条件が厳しかったり、制度はあっても実際には使えなかったり(上司が懐疑的だったり)で、まだまだ浸透していません。

競争性

民間企業は社会的責任を果たしながらも利益を上げる必要があります。利益がなければ従業員に十分な給料を支払うことができませんし、サービスを提供するための素出(もとで)も作れないからです。

そして民間企業は基本的に他の企業と競争関係にあります。

世界で唯一無二のサービスを提供しているのであれば競争相手はいないことになりますが(いわゆるブルーオーシャン)、そのサービスの需要が高いものであれば、他の企業も参入してくるので、結局ライバル企業が出てきます。

他の企業と競いあいながらも独自性を打ち出して企業の立ち位置を確立させていく…そういう難しい舵取りをしているという特徴があります。

キャリアパス

キャリアパスは企業ごとに大きく異なりますので一律に紹介することはできませんが、裏を返せば自分が望むキャリアパスを示している企業を自分で選択して入社することができると言えます。

私の転職活動経験から、民間企業の場合は、たとえばIT業界だったりベンチャー企業などは、年功序列制度がなく実力主義であるところが多いように感じます。

入社して何年経っているかということや年齢は関係なく、どんな経験をしてどんな実績を積んで、そこに至るまでにどのくらいの努力をしたのかを見て、年齢に関係なく昇任したりリーダーに抜擢するところもあります。

公務員と民間企業、どちらが自分に合っているのか?

国家公務員と民間企業の働き方の違いについて解説しました。

これは、どちらの方が良い悪いという話ではありません。それぞれ異なる特徴を持っているということです。

ですので、自分にとってどちらの働き方が合っているかどうかは、次の視点で考えるのがよいのではないでしょうか。

自分の価値観と照らし合わせる

国家公務員と民間企業の働き方には大きな違いがありますが、どちらがよいかどうかはあなたの価値観次第です。

なお、仕事を選ぶうえで重視することには、男女で違いがあるそうです。

2023年働き方に関するアンケート調査

◆仕事を選ぶうえで重視することは、「収入」が最多で、次いで「仕事内容」、「やりがい」が続く結果に。「やりがい」は、男性では4割以上の回答となっている一方、女性は3割未満にとどまっており、女性は「勤務時間」や「勤務地」など勤務形態をより重視

働き方に関するアンケート調査(明治安田総合研究所)

ぼくはテレワークがしたい!

仕事も頑張りつつ、スキルアップのための勉強もしたいし、遊びもしたいし、時間を効率的に使いたい!

テレワークを積極的に活用したいなら、今は民間企業、特にIT企業だね。

国家公務員も少しずつ働き方は改善しているけど、柔軟性はまだまだかな…

性格と適性

男女によって重要視する項目の違いについて触れましたが、当然個々の性格や適性も影響してきます。

上記のアンケート調査では、「男性はやりがいを重視する」という結果が出ましたが、女性でもやりがいを重視する人もいます。

また、何にやりがいを感じるかどうかは人によって異なります。

例えば、指示を受けた仕事を確実に遂行することにやりがいを感じる人もいれば、何をやるべきかゼロから自分で考えることにやりがいを感じる人もいます。

公務員は前者、民間企業は後者…ということではありませんが、比較的そのような傾向が強いのは事実です。

将来のビジョン

どのような将来像を描いているかによっても、選択肢は変わります。

例えば、早い段階でプレーヤーを卒業してリーダーになりたいのか、役職にこだわらず淡々と実務を積んでいきたいのか。

また、定年退職後はリタイアして悠々自適に過ごしたいのか、現役時代の経験を活かして働き続けたいのか。

国家公務員は、雇用と収入が安定していますので、定年まで安心して働き続けることができますし、現在の制度では退職手当も十分に支払われます。もちろん今後法改正があって退職手当が減額される可能性はありますが、現職の人たちに対して、退職手当制度がなくなる…という可能性は低いでしょう。

そうすると、定年退職後は現役時代に貯めたお金と退職手当、そして年金によって十分に暮らしていける可能性は高いです。

ただ、定年後も現役時代の経験を活かして働き続けたいと考えた場合、職種によっては国家公務員の人は難しいかもしれません。

ひとたび国家公務員という看板を下ろすと、あなた個人ができることは限られてしまうからです。

定年後は働くつもりがないのであればあまり気にする必要はありませんが、定年後も働き続けたいと思うのであれば、国家公務員という「看板」なくしてできること(スキル)を現役時代に身につけておく必要があります。

そう考えると、現役時代は民間企業で勤めながら本業または副業でスキルを磨くという選択肢が生まれると思います。

国家公務員は一部の例外を除いて副業が禁止されていますので、本業の傍ら副業でスキルを身につけるということができません。

副業をしたいのなら民間企業へ転職することを考えましょう。

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まとめ

国家公務員と民間企業の働き方の違いについて解説しました。

この記事では、「国家公務員」と「民間企業」という比較の仕方をしましたが、民間企業は企業の規模、歴史、業種、社長のポリシーなど、いろんな要素があってその企業独自の文化が出来上がります。

なので、民間企業はその企業ごとに大きく特徴が異なります。

一方国家公務員の働き方は基本的に国家公務員法や人事院規則で定められていますので、省庁ごとに多少の違いはありますが、概ね共通しています。

これらを一言で言えば、国家公務員の働き方は単一、民間企業の働き方は多種多様と言えるでしょう。

民間企業で働くことを選択肢に入れるということは、自分に合った働き方を選択できるということです。

私自身、国家公務員から民間企業へ転職した身として、民間企業での働き方はとても柔軟でのびのびとしていると感じます。

国家公務員の方で、今の働き方に悩んでいるのであれば、民間企業への転職を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

★転職活動をしてみようかなと思った方!次の記事でおススメの転職サイトと転職エージェントを紹介しています。

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