公務員はテレワークできない?その理由と課題を徹底解説!

30代後半公務員の転職

鷹です。

30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。

コロナ禍以降、すごくテレワーク進んだみたいだよね。

ぼくもテレワークしたいんだけど、お役所はなんかテレワークしづらいんだよね…。

わかる。テレワークの制度はあるのに、活用しづらい環境だよね。

この記事では、国家公務員のテレワーク実情について解説します。

国家公務員のテレワーク制度

新型コロナウイルスが大流行した際に、公務員も民間企業も強制的にテレワークが取り入れられました。

コロナ禍は落ち着きましたが、「出社しなくても仕事ができる」ということがわかり、世の中一気にテレワークに傾きましたね。

国家公務員もコロナ禍の流れからなんとなくテレワークが続いていたというのが実情でしたが、これがまた様々な問題を生みました。

少し例を上げると、

・テレワークを権利のように主張する職員が出てきた

・テレワーク時に仕事をしていないのではないかと思われる(連絡してもつながらないなど)

・何なら、テレワークの日に遊びに出かけていることが判明(処分されています)

このような問題が生じはじめ、きちんと体制を整備しなければならない状況となりました。

そして令和6年3月に、「国家公務員におけるテレワークの適切な実施の推進のためのガイドライン」が公表され、国家公務員も原則テレワークが可能であると明確化されました。

国家公務員におけるテレワークの適切な実施の推進のためのガイドライン(令和6年3月)
ー内閣人事局・人事院ー

ただし、「原則テレワークが可能」というのは、「いつでも自由にテレワークしていいよ」という意味ではなく、「一定の条件が揃えばテレワークをすることが許される」というものです。

あくまで「職務命令により実施」で、「業務上の支障がない限りにおいて職員の希望に応じてテレワーク可」というものであり、管理者が許可しなければ実施はできません。

なお、ガイドラインによってテレワーク制度が明確化されただけであり、実態として大きな変化があったものではありません

では次に、実際の国家公務員のテレワーク実施状況はどのようなものか解説していきます。

実際の国家公務員のテレワーク状況

実際の、国家公務員のテレワーク実施状況はどうなっているのでしょうか。

まず、私が勤務した2箇所のお役所での感覚は次のとおりです。

・制度としてはあるけど、業務に必要な資料は職場にあるので、結局出社しないと仕事できない

・「コロナじゃないのにテレワークする必要あるの?」という空気があって利用しづらい

・対面での打ち合わせが多くて、結局出社する必要がある

・なんだかんだみんな出社しているから、自分だけテレワークしづらい

こんな感じでした。

テレワークができたとしても職場に出勤したときと同等の仕事ができないという業務の特性もあり、また職場の雰囲気が制度を利用しづらいという事情もあるというところです。

では、その他の役所ではどうでしょうか。

内閣人事局が国家公務員を対象に実施した「令和3年度働き方改革職員アンケート結果」(令和4年4月)によれば、アンケート回答者(本府省等職員)の約6割は月1回以上テレワークを実施しているという結果が出ています。

その結果は公務員白書に掲載されています。

そして、上記のページにはこのように記載されています。

近年、各府省においては、テレワークやフレックスタイム制の活用による柔軟な働き方も進展してきた。テレワークについては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い普及し、内閣官房内閣人事局(以下「内閣人事局」という。)が国家公務員を対象に実施した「令和3年度働き方改革職員アンケート結果」(令和4年4月)によれば、アンケート回答者(本府省等職員)の約6割は月1回以上テレワークを実施している

「6割がテレワークを実施」と言われると、結構テレワークが進んでいるな、という感覚を抱きますよね。

でも、よく考えてみてください。「月1回以上」テレワークを実施している人を含めて6割です。

月に1回だけ実施すると、もう「テレワークを実施している」というカウントです。

嘘ではありませんが、そういうことが知りたいわけではないと思いませんか?

どのくらいテレワークがしやすくて、そしてどのくらい定着しているかということが重要なのであって、1回でもテレワークを実施したことがあるかどうかが知りたいわけではありません。

このアンケートにはその情報がないため、国家公務員のテレワークがどのくらい進んでいるのかがわかりません。

確実に言えることは、「月1回ですらテレワークを実施していない」という人が4割近くいるということ、そして「月1回以下」という人がほぼ半数だということです。

つまり、国家公務員はまだテレワークがしづらい状況にあるということです。

どうして国家公務員はテレワークができないのか

では、どうして国家公務員のテレワークができないのでしょうか。

私が考える、国家公務員がテレワークできない理由は、次の3つです。

・紙文化

・対面主義

・窓口業務

・幹部層に根付く旧態依然な考え方

紙文化

これは私も転職して明確に感じるようになりましたが、お役所は圧倒的に紙文化です。

最近はペーパレスにも取り組んでいますが、会議資料等の紙配付を辞める程度で、各人が自分で使うような資料はみんな好きに印刷している印象です。
そもそも過去の資料が紙で保存されているため、過去の資料を見るには職場に出勤するしかありません。

何から何まで紙で管理されているため、パソコンだけ持ち帰って自宅で仕事をしようとしても、なかなか難しいという事情があります。

紙がなくてもできる作業はありますが、限られています。

根本的に紙文化を脱しなければ、本当の意味のテレワークは難しいと思います。
(もちろん、ペーパーレスに積極的に取り組んでいる省庁もあり、そういうところは上記の例よりも多少進んでいます。)

対面主義

お役所は「対面主義」です。

テレワークでもチャットやオンライン通話でやりとりができますが、それが許可されていたとしても、「対面が選択できるなら対面」が推奨されていませんか?

または、何となく「対面が基本」という空気がありませんか?

仮に対面もオンラインもどちらも自由に選択できると言われても、日本人は周りの空気を読むことが非常に得意ですので、まわりの空気や上司の考えを汲み取って、対面を選択してしまうという特徴もあります。

例えば、「この日打ち合わせがある」となったとき、「私はその日テレワークするのでオンラインで参加します」と言えますか?

おそらくそういう発言をする人がいたら、周りの人は「テレワークより仕事が優先でしょ?」「打ち合わせするんだからその日くらい出社すればいいのに」「テレワークを権利だと勘違いしてない?」とか言うと思います。(少なくとも私が経験したお役所では、そういう空気でした)

実際、みんな出勤していればその場でささっと話せるのに、一人だけオンライン(テレワーク)となると、出勤組が会議室を確保して機器を準備して…となってしまい、出勤組に負担がかかってしまうので、空気を読む日本人はその日にテレワークすることを遠慮してしまうと思います。

お役所はまだまだ対面主義であり、さらに日本人特有の「空気」がそれを助長しているため、テレワークがしづらい状況と言えます。

窓口業務

窓口業務があるとさすがにテレワークはできません。

それでも、できるだけ国民のお困り事がオンラインで解消できるようチャットボットの導入などを進めているところもあります。

とは言え、窓口業務は完全にはなくなりませんので、これは国家公務員であるかどうかを問わず、職務の性質上テレワークになじまないものということで仕方ありません。

幹部層に根付く旧態依然な考え方

残念ながら、公務員の働き方が変わらない根本的な原因はここにあると私は考えています。

テレワークだけでなく、ありとあらゆることに関して、旧態依然な考え方を持ち出しては新しいことを否定します。

私が勤務したお役所(特に2つめのお役所)は、テレワークができる環境にも関わらず、他の人よりちょっとでもテレワークが多い人は「あいつはテレワークが多いからな(ちょっと仕事できない人なんじゃないの?)」と幹部から言われます。

テレワークがちょっと多いというのは、そのお役所はテレワークしない人の方が多く、しても週1回、多くて2回程度。(しかも毎週必ず週2回とかではなく、週2回のときもある…程度)

民間企業はどのくらいテレワークしているのか

民間企業と言っても、企業ごとに事情は全く異なります。

業種、職種によっても異なりますし、同じ業種・職種であっても企業の運営方針によっても異なりますので、一律にはご紹介できませんが、私が転職したIT企業の事情はこんな感じです。

・各自の判断でテレワーク可
 →事前の申請や許可など不要。
 →「週◯回は要出社」など、出社義務日数がない

・テレワークをしようがしまいが、一律テレワーク手当の支給あり
 →ある意味出社した方がお得ではある(出社した分の通勤手当は支給されるため)

・そもそも資料を紙で出力・保存するという概念がないため、会社でも家でも仕事を進めるに当たって必要な情報に一切の差がない

・ほとんどみんなテレワークしているので、「打ち合わせ=オンライン」がスタンダード

・連絡手段はメール・チャットが基本であるため、会社に固定電話がほとんどない
 →電話対応のために出社するという必要性がない

これだけ見ると、テレワークを希望している人にとって非常に魅力的に感じるかもしれませんが、最初にも触れたとおり、全ての民間企業に当てはまるものではありません。

ただ、業種によってテレワークの実施状況に傾向はあるようです。

国土交通省が出した「令和5年度 テレワーク人口実態調査」によると、業種別テレワーカーの割合は、「情報通信業」が70%超で1位です。

私の転職先も、法人登記上は「情報通信業」ですので、まさにこの70%超に該当します。

ただし、「テレワーカー」の定義が「現在の主な仕事でこれまで、テレワークをしたことがあると回答した人」となっているため、国家公務員のアンケートと同様、どのくらいテレワークがしやすくて、そしてどのくらい定着しているかという情報がありません。

場合によっては国家公務員と同様、「月1回」だけでも実施したことがあるという程度の人が含まれている可能性はありますが、私の転職先での状況を踏まえると、IT企業が国家公務員と同様のテレワーク状況とは考えづらいです。

「紙文化」や「対面主義」がない企業であれば、テレワークは実施しやすいものと思われます。

まとめ:どうしてもテレワークがしたいなら情報通信業の企業へ転職

国家公務員のテレワークの現状について解説しました。

国家公務員において今以上にテレワークが浸透するためには、「紙文化」そして「対面主義」から脱却する必要があると考えます。

「文化」や「主義」と表現しているとおり、これは制度を整えればなんとかなるものではなく、職員個々人の意識が変わる必要があるものです。

そして意識というのはそう簡単に変わるものでもありません。

国家公務員として働き続ける以上は、当面、自由なテレワークは難しいでしょう。

どうしても自由にテレワークがしたい!という場合は、民間企業(特に「情報通信」企業)への転職をおすすめします。

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