なぜ日本の行政DXは遅れるのか? 現状と打開策を徹底解説!

30代後半公務員の転職

鷹です。

30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。

デジタル庁が設立され、政府全体で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が推進されているにもかかわらず、「公務員のDXはなかなか進まない」という声も耳にします。なぜ日本の行政DXは、期待されるほど加速しないのでしょうか?

本記事では、政府全体でDXが進まない背景にある構造的な問題、具体的な要因、そして現状を打破するための打開策について、深掘りして解説します。

行政のデジタル化の現状に関心のある方、そして日本の未来に関心のあるすべての方に、ぜひご一読いただきたい内容です。

なぜ?「行政の DXが 進まない」と指摘される根本原因

公務員のDXが進まない背景には、単一の理由ではなく、複合的な要因が絡み合っています。ここでは、その根本的な原因を深掘りします。

根強い「前例主義」と変化への抵抗

公務員組織は、公平性・公正性を重んじるあまり、「前例踏襲」が強く根付いています。

新しい取り組みやシステム導入には、予期せぬトラブルや責任問題が発生するリスクが伴うため、極端にリスクを回避しようとする傾向があります。

これにより、たとえ非効率であっても、これまでのやり方を維持しようとする「現状維持バイアス」が働き、DXの推進を阻害します。

レガシーシステムと複雑な業務プロセス

長年使用されてきた行政の基幹システムの中には、老朽化が進み、最新技術への対応が困難な「レガシーシステム」が多数存在します。これらのシステムは、特定のベンダーに依存しているケース(ベンダーロックイン)も多く、改修や連携に多大なコストと時間が必要となります。

さらに、システムに合わせて業務プロセスが複雑化・細分化されているため、デジタル化によって業務プロセス自体を見直すことへの抵抗が生じやすいのです。

IT人材の不足とデジタルリテラシーの格差

行政組織内には、DXを推進できる高度なITスキルを持った人材が圧倒的に不足しています。民間に比べて給与水準やキャリアパスの魅力が劣るため、優秀なIT人材の確保は困難を極めます。

また、既存職員のデジタルリテラシーにも大きな格差があり、新しいツールの導入やデータの活用に抵抗を感じる職員も少なくありません。

縦割り行政と省庁間の連携不足

各省庁や地方自治体がそれぞれ独自のシステムを構築・運用しているため、省庁横断でのデータ連携や情報共有が困難な「縦割り行政」の弊害が顕著です。

これにより、同じようなシステムが重複して開発されたり、国民が複数の窓口で同じ情報を何度も提供する必要が生じたりするなど、非効率な状況が生まれています。

予算と時間軸の制約

DXは短期的な成果が出にくい性質を持つため、単年度予算主義の行政において、長期的な視点での投資判断が難しい側面があります。

また、大規模なシステム改修や組織変革には膨大な予算と時間が必要であり、その確保自体が大きな障壁となることがあります。

行政のDXが 進まない現状を打破する打開策

これらの課題を克服し、公務員DXを加速させるためには、多角的なアプローチが必要です。

トップダウンによる強力なリーダーシップと明確なビジョン

デジタル庁が司令塔機能を強化し、各省庁のトップがDX推進の重要性を明確に認識し、強力なリーダーシップを発揮することが不可欠です。DXのビジョンを全職員で共有し、具体的な目標を設定することで、組織全体の意識改革を促します。

外部人材の積極的な登用と組織文化の変革

民間企業からDX推進の経験を持つIT専門家やデザイナーを積極的に採用し、組織内に新たな知見や文化を取り入れることが重要です。また、これまでの年功序列型から、専門性や実績を評価する「ジョブ型」の人事制度への移行も検討し、多様な人材が活躍できる環境を整備します。

段階的なDX推進と「小さく始めて大きく育てる」

一度に大規模なシステムを刷新しようとせず、まずは業務の一部をデジタル化するなど、「小さく始めて大きく育てる」アプローチが有効です。

成功事例を積み重ねることで、職員のDXに対する理解と意欲を高め、抵抗感を払拭していきます。アジャイル開発手法の導入も、柔軟なシステム開発に繋がります。

既存職員のデジタルリテラシー向上とリスキリング

全職員を対象としたデジタルリテラシー研修の実施や、高度なスキルを持つ人材を育成するためのリスキリングプログラムの提供が不可欠です。

これにより、DXの担い手を内部で育成し、外部依存を減らすことで、持続的なDX推進が可能になります。

制度・規制の見直しとデータ連携の推進

デジタル化を阻む古い法制度や規制を大胆に見直し、柔軟な制度設計を進める必要があります。また、省庁間のデータ連携を促進するため、データ形式の標準化やAPI(Application Programming Interface)の公開など、技術的な基盤整備を強力に推進することが重要です。

まとめ

行政の DXが 進まないという現状は、日本の将来を左右する大きな課題です。

しかし、その原因を深く理解し、適切な打開策を講じることで、必ず現状を打破し、デジタル化された効率的で国民に寄り添う行政へと変革することができます。

デジタル庁の設立を契機に、トップダウンの強力な推進力と、現場の公務員一人ひとりの意識改革、そして国民からの期待が合わさることで、日本の行政DXは確実に前進するはずです。

本記事が、そのための議論を深める一助となれば幸いです。

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