鷹です。
30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職しました。
その後40代になってから民間企業へ転職しました。
自分の転職経験を基に、転職したい、今の仕事を辞めたいと考えている30代公務員のお悩み解決のお手伝いができればと思っています。
今、別の公務員に転職してみようかなと思ってるんだけど、不利なこととかあるのかな?
公務員から公務員へ転職しようとしているんだね。結論から言うと何も不利なことはないよ!
結論:公務員から公務員の転職は不利ではない(むしろ有利)
公務員から公務員への転職は不利ではありませんし、むしろ有利と言えます!
ただし、公務員から公務員へ転職するに当たっては知っておくべきこともありますので、この記事で紹介したいと思います。
公務員から公務員への転職4パターン
公務員から公務員への転職は、次の4パターンあります。
国家公務員から地方公務員
このパターンで一番よく聞く理由は、「地元で働きたい」です。
・自分が生まれ育った自治体で貢献したい
・地元の自治体の範囲内での転勤に抑えたい
国家公務員の仕事は国全体の政策に関わることなので、ダイナミックな仕事がしたいということで公務員の中でも国家公務員を目指したものの、「地元に貢献したい」「転勤はしたくない」という思いが強くなり、地方公務員へ転職される方もいます。
地方公務員から地方公務員
地方公務員と言っても、県庁から市役所といった転職や、県庁から消防士への転職などがあります。
県庁から消防士という場合、そもそもやりたいことが異なるため転職ということが考えられます。また、県庁から市役所といった転職は、やはりエリアの違いが理由になることが多いでしょう。
地方公務員から国家公務員
これは国家公務員から地方公務員へ転職する場合と逆パターンで、地元で働いていたけれど、もっとダイナミックな仕事に携わりたいという理由で国家公務員へ転職される方がいます。
国家公務員から国家公務員
国家公務員から国家公務員の転職には、次のようなパターンがあります。
・地方局から中央省庁
・行政職から専門職
・一般職から総合職
上記以外でも、シンプルに一般職から一般職で、省庁だけ変わるという転職もあります。
ひとくちに国家公務員と言っても、業務内容は省庁ごとに大きく異なります。そのため、自分がもっと興味がある政策に携わりたいという思いで、一般職のまま他の省庁へ転職するというパターンがあります。
公務員から公務員への転職のメリット・デメリット
次に、公務員から公務員へ転職することのメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
公務員から公務員へ転職することのメリット
公務員から公務員への転職には、次のようなメリットがあります。
・多少の違いはあれど、「お役所」という共通文化があるので馴染みやすい
・もともと勤務していた役所の経験が活かしやすい
・退職手当の基準期間が通算できる(国家公務員→地方公務員の場合、通算できない自治体もある)
多少の違いはあれど、「お役所」という共通文化があるので馴染みやすい
これは公務員の方であればなんとなくわかるのではないでしょうか。
お役所には良くも悪くも共通した文化があります。
例えば、
・前年踏襲→新しいことに後ろ向きという悪い面もありつつ、過去の実例を元に業務を遂行するという効率的な面もある
・意思決定のスピード→段階的な上長への説明、決裁があるため、スピード感に欠けるという悪い面もあるが、組織として十分に検討した上での意思決定とも言える(職員個人ではなく組織として責任を取る)
など。
なお、お役所文化の経験があるという点については、採用する側から見てもメリットがあります。
民間企業と公務員にはやはり大きな企業文化の違いがありますから、民間企業でしか得られない貴重なスキルを持った人であっても、国家公務員として採用したあとお役所文化に馴染めるかという懸念点があります。
前職が公務員の場合、少なくともお役所文化の経験があるという点では大きなアドバンテージがあると見てもらえます。
もともと勤務していた役所の経験を活かしやすい
例えば、
・自治体で税務課の勤務経験がある方が、国税専門官に転職して税務調査の仕事をする
など、特に国と地方は連携している仕事も多々ありますので、もともと勤務していた役所の経験を直接活かせる場合も多々あります。
退職手当の基準期間が通算できる場合
公務員の退職手当は、勤続期間によって変わってきます。
勤続期間ごとに支給割合が決まっており、勤続期間が長くなるほどその支給割合は大きくなります。
一度国家公務員を辞めてしまうと勤続期間がリセットされてしまうのですが、国家公務員を辞めてその日又は翌日に引き続き国家公務員になった場合は、勤続期間を通算することができます。
この通算できる勤続期間は、地方公務員として勤務した期間も対象となります。
また国家公務員を辞めて引き続き地方公務員になった場合も、その自治体の条例で国家公務員の勤続期間を退職手当の勤続期間に通算できると定めているところも多くあります。
国家公務員を辞めて地方公務員になる場合は、転職先の自治体が、国家公務員の勤続期間を通算できるような条例を定めているかどうか、確認しておきましょう。
公務員から公務員へ転職することのデメリット
給料が下がる場合がある
公務員から公務員への転職で、最大のデメリットといえるポイントがあります。
それは、
給料が下がる場合がある
という点です。
国家公務員が中途で採用された場合の給与決定は、人事院のHPに次のとおり紹介されています。
この「採用された方の経験年数と同程度の経験年数を有する国家公務員」というのがやや曲者であり、あくまで「採用された省庁で、同程度の経験年数を有する国家公務員」との比較になります。
給与決定に係る基礎的なルールは人事院規則で決まっていますが、細かい運用は各省庁に任されています。
そのため、仮に同じ年度にA省に採用された職員とB省に採用された職員、ふたりとも勤務成績がずっと同じであっても、A省とB省で運用が異なれば(昇給ペースが異なれば)、十数年経過後には級号俸に差が生じることとなります。
そのため、たとえば昇給ペースの早いA省庁で勤務していた職員が、A省庁と比較すると昇給ペースが遅いB省庁へ転職した場合、B省庁入庁時の給与が、A省庁退職時の給与より下がる場合があります。
繰り返しになりますが、各省庁の運用に任されていますので、これはあくまで可能性です。
昇給ペースが早い省庁から遅い省庁へ転職すると、必ず給料が下がるというものではないことはご留意ください。
なお、これはあくまで前職を退職し、新規採用される場合の話のため、業務としてA省庁からB省庁へ出向した場合には、このような状況は起こりません。
組織文化が異なり、ギャップに耐えられない可能性がある
公務員から公務員へ転職する場合のメリットとして「多少の違いはあれど、『お役所』という共通文化があるので馴染みやすい」という点を挙げました。
ただし、まれに組織文化が大きく異なり、そのギャップに耐えられないという場合があります。
私もそれに近しい経験をしました。
私は最初は地方局で勤務していましたが、社会情勢に敏感で、常にキャッチアップし続けなければ業務がままならないようなものでした。
なので、経済産業省が「2025年の崖」を打ち出して、世間的にDXが騒がれるようになったとき、私の組織も一気にDXへ加速しました。
もちろん、すぐに実現するものではありませんので、方針の表明、土台作りと道のりは長いものでしたが、強力なトップダウンもあり、組織全体としてDXへの意識が高まりました。
一方、転職した本省では、口でこそDXとは言っていますが、本心では全然DXの必要性を認識していない、認識していないから取り組む意識もない、という人たちばかりでした。
特に上層部がそのような状態でしたので、組織全体としても当然DXの機運はなく・・・。
一部積極的な人もいましたが、むしろそのような人たちが白い目で見られるような世界。
これにはさすがにギャップを禁じえませんでした。
逆のギャップ(DX遅滞の組織→DX推進の組織)であればよかったかもしれませんが、常に業務の効率化・最適化、国民にとって行政はどうあるべきかと自分なりに考えてきた私にとっては、このギャップには耐えられませんでした。
結局、公務員から公務員への転職は不利なのか?
公務員から公務員へ転職する際のデメリットはありますが、概ね公務員から公務員への転職は可能である上、むしろ有利といえます。
通常、転職するのには非常に大きな勇気が必要です。
それが公務員から公務員への転職であると、環境や勤務体系、組織文化の変化が最小限に抑えられ、民間企業へ転職するよりも覚悟は小さくて済みます。
転職して環境を変えたいけど勇気が出ない…という人は、一度、他の公務員へ転職するという選択もアリだと思います。
実際に私も、一度公務員から公務員へ転職したことで転職すること自体のハードルが下がり、そのおかげで次に民間企業へ転職するときは結構サクッと覚悟が固まりました。
まとめ
公務員から公務員への転職は不利ではなく、むしろ有利であるということを解説しました。
同じ公務員と言っても、業務内容や勤務地など組織によって異なる点もたくさんあります。
公務員を辞めるのはイヤだけど、でも仕事を変えたい、働く場所と考えている方は、他の公務員への転職を考えても良いと思いますよ。
★転職活動をしてみようかなと思った方!次の記事でおススメの転職サイトと転職エージェントを紹介しています。
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