公務員のメンタル不調。どうすれば心健やかに働けるのか?

30代後半公務員の転職

鷹です。

30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。

近年、公務員のメンタル系の長期病休者が増えているそうです。

個人的には「それもそのはず…」と感じてしまいました。

公務員のメンタル系長期病休者の実態とその原因、解決策について触れていきます。

公務員の病休者

まず、公務員のメンタル系長期病休者が多いという根拠情報です。

国家公務員と地方公務員、それぞれ以下のとおりです。

国家公務員の場合

人事院は、国家公務員のメンタルヘルスに関する状況を定期的に調査しています。

これらの調査結果によると、長期病休者のうち、精神疾患によるものが高い割合を締めていることが示されています。

令和5年度における人事院の公務員白書(年次報告)に以下の表、グラフが掲載されています。

精神及び行動の障害による長期病休者数及び全職員に占める割合の推移
人事院「令和5年度年次報告」より
人事院「令和5年度年次報告」より
人事院「令和5年度年次報告」より

これらの情報から言えることは、

国家公務員のメンタル疾患による長期病休者は年々増加傾向にあり、その中でも特に若年層(20〜29歳)の割合が多い

ということです。

地方公務員の場合

総務省は、地方公務員のメンタルヘルスに関する状況を調査しており、多くの地方公共団体でメンタルヘルス不調者が増加傾向にあることが報告されています。

一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が出している「【令和6年】地方公務員健康状況等の現況の概要」において、以下の表、グラフが掲載されています。

一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会「【令和6年】地方公務員健康状況等の現況の概要」より
一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会「【令和6年】地方公務員健康状況等の現況の概要」より

地方公務員の場合も国家公務員と同様で、メンタル疾患による長期病休者は年々増加傾向にあり、その中でも特に若年層(20〜29歳)の割合が多いと言えます。

なぜ公務員はこんなにもメンタル不調が多いのか

一般的に言われている理由

公務員にメンタル不調が多い理由、、、いろいろ調べてみたりAIにも聞いてみると、概ね以下のようなことが言われています。

  • 高度な専門性と責任があり、常にプレッシャーにさらされる環境にある
  • 国会対応や政策課題への対応など、業務量が膨大で長時間労働や休日出勤が常態化している
  • 上司、同僚、関係省庁、国会議員など、様々な立場の人々との複雑な人間関係の中で業務遂行する必要性がある
  • 国民全体の奉仕者として、高い倫理感と責任感が求められる一方、政策に対する批判や国民からの厳しい目にさらされる
  • 組織が硬直的であり、上意下達の傾向、柔軟性や多様性に欠ける組織文化が、ストレスを増幅させている
  • 価値観が多様化し、公務員の仕事に対する価値観も変化しているため、仕事に対するモチベーションの維持が困難

まあ、わからなくはないです。

でも、私はそんなにしっくりもこない。

あくまで私個人の考えですが、公務員のメンタル不調が多い理由は、

圧倒的に自由度が低いから

ではないかと思っています。

私が考える理由:圧倒的に自由度が低いこと

私が考える、公務員のメンタル不調が多い理由は、圧倒的に自由度が低いから。

「自由度」という表現だと抽象的ですが、私が考える働く上での自由は、例えば以下のようなものです。

  • やるべきことだけでなく、やりたいこともやれる
  • 仕事の進め方を自分で決められる
  • 働く時間を自由に設定できる
  • 働く場所を自由に選択できる

公務員では、これらが全て満たされていないと言えます。

つまり、この逆であることが、公務員のメンタル不調に影響を与えていると考えます。

やるべきことしかなく、やりたいことがやれない

公務員の仕事は基本的に「やるべきこと」に限られています。

もちろん、「今日本が置かれている現状を考えると、こういう課題があるから、こういう政策をしたらいいんじゃないか」ということを考える人もいると思いますが、それが実現できるのは上層部にいる公務員の中のごく一部の人だけです。

ほとんどの人は、上から降りてくる「やるべきこと」だけをこなすことがその職務となっており、とても「やりたいことをやれる」なんて環境ではありません。

(そのやるべきことが尋常じゃないほどの業務量があるので、「やりたいこと」を考える暇もない…という実情もあるかもしれません)

仕事の進め方を自分で決められない

これは必ずしも公務員特有ということではありませんが、規模が大きい組織になるほど個人の裁量が小さくなるのは間違いありません。

それは、「その人の意思決定=組織の意思決定」になるからです。

そのため、公務員の業務では、どんな小さな仕事でも上長の決裁(承認)を得る必要があります。

とある職員の業務の遂行状況、その成果について上長が把握していないとなると、組織として統制が取れていないと判断されてしまいます。

何をするにも上長の決裁(承認)が必要なため、自分は「これがよい」と考えたとしてもそれが通らないこともありますし、何より意思決定に時間がかかり、スピード感に欠けるという欠点があります。

働く時間を自由に設定できない

民間企業であれば全て「働く時間を自由に決められる」というわけではありませんが、少なくとも公務員は自由に決めることはできません。

一日の就業時間も、その開始時間終了時間も法令規則等で定められているため、決まった時間の幅でしか働くことができません。

でも必ずしも年がら年中「一日当たり7時間45分」の仕事があるわけではありません。

なのに働く時間は一日当たり7時間45分です。

「今日は急ぎの仕事がないから、仕事を早く終えよう」と思ったら、休暇を使う必要があります。

休暇が余っている人であればいいですが、例えば子育て中であれば、どういうときに休暇が必要になるかわからないので、むやみに休暇を使えません。

結果、仕事がない日も7時間45分働くことになります。

ちなみに、最近はフレックスタイム制度もありますので、「絶対に一日7時間45分」というわけではありません。

けれど公務員の人であればよくおわかりかと思いますが、制度には条件がつきものです。

勤務時間は事前申請制であり、変更はその日の勤務開始時間までです。

「夕方の打ち合わせが急遽キャンセルになったから、今日は早く終えよう」とはいきません。

フレックスタイム制の利用は決してフレックスではないのです。

働く場所を自由に選択できない

また、公務員の場合はテレワーク制度も整備されていますが、出勤して働くことが原則となっています。

テレワークガイドラインでは「業務運営上の支障がない限り可能」という建付けになっています。

つまり、業務運営上の支障がある場合は、テレワークを認めないことができるのです。

「毎日テレワークしたい」という職員がいた場合、認められると思いますか?

他の人と比べて不平等だから、という「業務運営上の支障」で認められないでしょう。

また、そこまで極端ではなくても、「今日は雨だからテレワークにしよう」という突然の予定変更が認められると思いますか?

そんなしょうもない理由でしかも急に言われても周りの人が困る、という「業務運営上の支障」で認められないでしょう。

例外的に認められることはあっても、常時認められるということはないと思われます。

特に若者でメンタル不調者が多い理由

また、特に若年層(20〜29歳)でのメンタル不調者が多いようですが、それは上記以外に以下の理由が考えられます。

環境の急激な変化

若年層は、学生から社会人への移行期であり、職場環境の急激な変化に適応する必要があるため、精神的な負担を感じやすい可能性があります。

特に、公務員の職場は、上下関係が厳格で規則や慣習が多い場合があり、若年層にとってはストレス要因となる可能性があります。

学生時代、そこまで厳しい上下関係に縛られてこなかった若年層にとって、いわゆる「体育会系」の組織構造は非常にストレスになる可能性があります。

デジタルネイティブ世代の特徴

若年層は、デジタルネイティブ世代であり、SNSやインターネットでのコミュニケーションが一般的です。

若年層にとっては、職場に出勤して対面で周りの人とコミュニケーションを取ることはまだしも、窓口で国民・住民と接触すること、知らない人(国民・住民)からの電話を取ることを非常にストレスに感じてしまいます。

価値観の多様化

社会全体として価値観が多様化してきています。

その中でも、中高年層と比べると若年層は多様な価値観を持っており、公務員の仕事に対する価値観も変化しています。

一昔前は、「国民のため」「住民のため」熱い思いを持って公務を全うしていた人が多かったかもしれませんが、今や公務員も数ある職業の中の一つであり、「公務員だから」「公務員として」という価値観は薄れてきているかもしれません。

そのため、「公務に携わること」自体の価値が昔ほど高く捉えられなくなった可能性もあります。

そういう中で、給与という客観的な価値ではなく「やりがい」で人を動かそうとする公務員の世界に心身を壊してしまうのかもしれません。

    どうしたら心健やかに働ける?

    心健やかに働くためには、自分に合わない環境から離れるということが重要だと考えています。

    本当は、公務員の職場環境が変わることが一番なのですが、さすがにそうは簡単にいきません。

    それであれば、変わらない組織に不満を持ちながら結局自分の心身を壊してしまうくらいなら、その環境から離れることが最善です。

    ちょっと上の年代の方であれば、こういう考え方はすぐに「逃げ」と表現し、激しく避難してきます。

    でも、どうして逃げることがだめなのでしょうか?

    街中を歩いていて、急に蜂が飛んできたら逃げますよね。

    だって逃げないと刺されて痛い思いしますし、もしその蜂がスズメバチだったら死に至る可能性だってあります。

    逃げることは立派な戦略です。

    最善の選択は、自分の人生を預ける環境を自分で選択するということです。

    まとめ:自分の意思を持って生きていこう

    公務員は自由度が低い、特に若年層は、若年層特有の特徴からメンタル不調に陥りやすいという個人的な意見を記載させていただきました。

    これでは、「公務員として働かない方がいい」と言っているように見えてしまいます。

    が、事実、一部の人にとってはそうです。

    自分自身の意思で公務の仕事にやりがいを持てる人であれば公務員を続ければよいと思いますが、やりがいもなく苦労しかないのであれば、別の環境を探してみるほうがあなたの人生にとって絶対いいはずです。

    あなたの人生はあなただけのものなのです。

    もし公務員として働いてみた結果、苦しい、辛いと感じるのなら、わざわざそんな環境に残り続ける必要はなく、自分の意志で自分が自分らしく働ける場所を探してみるべきです。

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