「働かないおじさん」はどうして生まれるの?ピーターの法則から考える

30代後半公務員の転職

鷹です。

30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。

あなたの職場にも、いわゆる「働かないおじさん」はいませんか?

「あの人ほんとに働かないから、給料泥棒だ!」

「昔はあんなに仕事ができたのに、今は全然働くなくなっちゃった」

そう疑問に思っている方もいるかもしれません。

実は、「働かないおじさん」の背景には、組織論として有名な「ピーターの法則」が関係している可能性があります。

この記事では、ピーターの法則と働かないおじさんの関係性、そしてその対策について解説します。

ピーターの法則とは

ピーターの法則とは、1969年にカナダの教育学者ローレンス・J・ピーターが提唱した組織論の法則で、

「階層組織では、従業員は能力の限界に達するまで昇進し、最終的には無能なポジションにとどまる」

という考え方です。この法則は、企業や官僚機構などの組織において広く見られる現象を説明しています。

ピーターの法則の仕組み

一般的に、組織では優秀な社員が昇進します。

たとえば、営業職で優れた成績を収めた社員は、営業チームのリーダーや管理職に昇進することが多いです。

しかし、管理職に求められるスキルは、個人の営業能力とは異なり、チームマネジメントや戦略立案、部下の育成などが重要になります。

もしこの社員が管理職としての適性を持たなければ、その職務をうまく果たせず、組織にとって「無能な管理職」となってしまう可能性があります。

このように、各従業員がそれぞれの職務で成功する限り昇進を続け、やがて能力を超えた役職に到達し、そこで成長が止まるため、組織内には「能力を超えたポジションに留まる人」が増えてしまうというのが、ピーターの法則の本質です。

ピーターの法則の影響

この法則が働くと、次のような問題が発生する可能性があります。

組織の効率低下
無能な管理職が増えることで、組織全体の意思決定が非効率になり、業績が低迷する恐れがあります。

優秀な人材の埋没
適性のない管理職に昇進させられることで、本来のスキルを活かせず、組織に貢献できない人材が増えます。

モチベーションの低下
有能だった従業員が管理職で苦しむようになれば、仕事への意欲を失い、組織全体の士気が低下する可能性があります。

ピーターの法則と働かないおじさん

上記のとおり、もともと優秀だと評価された人が、その人の能力を超えるポジションに昇進したために、無能になってしまう=働かない(働けない)おじさんになってしまう、ということが言えます。

この理屈から言うと、ピーターの法則は「おじさん」に限られる問題ではありません

当然女性でも発生し得ますし、「自分の能力以上のポジションへの昇進」という意味だと、若手層であっても起こりえます。

企業での主な働き手は男性であるため、働かない中高年層も必然的に男性が多くなり、働かない「おじさん」という言葉が出てきたと考えられます。

なお、働かないおじさんはピーターの法則に当てはまる場合だけではありません

日本特有の年功序列制度や解雇規制も大きく影響していますが、それはまた別の記事で紹介させていただきます。

ピーターの法則を抑えるための対策

ピーターの法則の影響を抑えるために、以下のような対策が考えられます。

組織としての対策

組織として、ピーターの法則に嵌まる従業員を生み出さないためには、いくつか対策を取る必要があります。

昇進基準の見直し
成果主義だけで昇進を決めるのではなく、管理職としての適性を評価する仕組みを導入する。

専門職のキャリアパスを設ける
管理職以外にも、専門的なスキルを活かせるキャリアパス(例:エキスパート職)を用意し、昇進の選択肢を広げる。

管理職向けの研修を強化する
昇進後に必要なスキルを身につけられるよう、リーダーシップ研修やマネジメント教育を充実させる。

降格制度の導入検討
能力不足の場合には、降格も検討する。降格後のキャリアプランも提示し、従業員のモチベーション低下を防ぐ。

私個人としては、「専門職のキャリアパスを設ける」に一番期待を寄せています。

「能力」と一言で言っても、その種類は千差万別であり、専門分野に飛び抜けて能力が高い人もいれば、特定の分野での得意はないけども、幅広く「マネジメント」ができるという人もいます。

日本では、マネジメントできる人が偉く、出世=管理職になることという仕組みができあがっています。

でも組織はマネジメントだけでなく「現場で強い」人がいなければ成り立ちません。

その「現場で強い」人をきちんと評価する制度として、「専門職のキャリアパス」があれば良いなと感じています。

個人としての対策

自分自身がピーターの法則に嵌り、「働かないおじさん」になってしまわないようにするためには、どうすべきでしょうか。

それは、創造的無能になることです。

創造的無能とは、

意図的に無能であるように振る舞うことで、不適切な昇進を回避する

という戦略です。

例えば、

わざと小さなミスをする
仕事はしっかりこなすが、時折軽微なミスをすることで、「完璧すぎる」印象を避ける。

管理職向けのスキルを習得しない
プレゼンテーションやリーダーシップスキルの習得を最低限に留める。
マネジメント研修などにあえて積極的に参加しない。

やや個性的なキャラクターを演じる
組織の「型」にはまらない行動をとることで、「この人を管理職にするのはリスクがある」と思わせる
仕事はしっかりするが、身の回りを整理整頓せず、ちょっとズボラな人と見せる。

といったことです。

そうすることで、自分の能力以上のポジションに昇進することなく、自分の能力が発揮できる最適なポジションに留まることができます。

ただし、やりすぎると本当に評価が下がり、キャリアの停滞を招くことにもなります。

そのため、単に怠けるのではなく、「自分が最も貢献できるポジションに留まるための戦略的選択」として、バランスを取りながら実践することが重要です。

まとめ:管理職への出世だけが幸せではない

日本では、出世=管理職になること、と広く認知されています。

そして人は出世を目指す(望む)べきものとも思われています。

もちろんそれはそれで一つの価値観として問題ありませんが、万人にとって共通の価値観ではありません。

特に多様性が認められている昨今では、なおのことです。

出世に囚われて、自分の能力以上の役職に就いてしまった場合、ストレス過多で心身を病んでしまう可能性もあります。

自分にとっての幸せは何なのか、本当に出世を望んでいるのか、改めて考えてみてもいいのではないでしょうか。

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