鷹です。
30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。
みなさん、やりがい搾取という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、経営者や依頼者が労働者に「やりがい」を強く意識させることで、本来支払うべき賃金や手当の代わりにサービス残業や無賃労働を勧奨し、適切な報酬の支払いを免れる行為のことを指しています。
また、公務員という世界はやりがい搾取を受ける環境なのか?といったことにも触れたいと思います。
やりがい搾取とは
やりがい搾取とは、具体的には例えば以下のようなものです。
- 仕事量に対して給料や報酬が不当に低い
- 有給休暇を取得できない環境
- 労働時間として扱われない時間の存在(例:無給の社内研修や業務体験等)
仕事量に対して給料や報酬が不当に低い
これは文章のとおりです。
例えば、とある優秀な人材の採用を検討しています。
その人の経験やスキル、希少性を考えれば、年収1000万円は下らない人材です。
しかし、それだけの給与を支払えない(実質は、支払えるけど社内の既存社員とのバランスを考えると支払えないという状況だったりする)ため、業務内容の価値を前面に押し出し、給料よりも価値のある仕事であるような印象を与えます。
・給料は多少低いかもしれないが、我が社の仕事(あなたに任せようと思っているプロジェクト)は世の中にとってとても価値のある仕事
・これはあなたにとっても大きく成長できるいい機会
・給料以上に価値のある仕事である
という意識を植え付け、対価に見合わない給料で働かせるといったことです。
これは一番わかりやすい「やりがい搾取」ではないでしょうか。
有給休暇を取得できない環境
有給休暇の取得は法律で認められている権利です。
しかし、休むということはその分仕事が止まるため、会社としてはできるだけ休ませたくないと考えがちです。
(そういう企業は、社員が休暇を取ることでリフレッシュや休養ができ、生産性が上がる…ということまで考えられません)
休ませたくない、とは言えないため、
・休んでいる間、同期はその分成長の機会を得ている
・若いうちは、休むよりも苦労を買ってでもした方が成長できる
というように、休むことにより社員自身が損をする(成長という機会を失う)という空気を作り、休暇を取りづらい状況を醸成しています。
労働時間として扱われない時間の存在(例:無給の社内研修や業務体験等)
仕事をしていく上で、学ばなければならないことはたくさんあります。
それが企業として必須の内容であれば、就業時間中に研修時間を設けて社員に学習してもらいます。
就業時間外に勉強会をセッティングし、参加を必須とするならばそれは残業です。
しかし、多くの場合
・有志が自主的に開催しているもの(だから仕事じゃない=残業手当は支給しない)
・実質的には参加が必須となっている
・参加しないと評価が下がる
というように、就業時間外なのに参加が必須であり、しかも参加しないと(明言はしないけど)評価が下がるという状況があります。
自主的に勉強することが自分の成長につながること自体は間違っていませんが、勉強会への参加を強要することはやりがい搾取以外の何モノでもありません。
公務員はやりがい搾取を受けやすい
公務員はやりがい搾取を受けやすい職業とされています。
公務員の場合、公共の利益を重視するため、自己犠牲的な働き方が美徳とされることが多く、その結果、労働に対する報酬が軽視される傾向があります。
長時間労働
長時間労働が問題視されるレベルの残業時間、休日出勤、国会会期中であれば無駄な待機やオンコールなど、数え上げればキリがありません。
でも「国・地域のため、公共の利益のため」という、一般的には崇高と捉えられる目的のため、そのような働き方が許容されている世界と言えます。
低賃金
公務員の給与は、単純に民間企業と比較しただけであればそんなに低賃金とは言えません。
ただし、給与というのは業界で決まるものです。
同じスキルでも、高年収業界の民間企業へ転職すれば、簡単に年収アップする人もいます。
それだけ優れた知見とスキルを持っている公務員であっても、法律で定められた給与に抑えられ、大幅な年収増は見込まれません。
貴重なスキルを持った人材というのは官民問わず需要が高いのですが、民間企業では数千万円の年収が提示されるような職種を、公務員ではたかだか数百万円で採用とします。
誰が公務員になりますか?という話です。
なのに、とある人は「年収で仕事を決めるような人なら来てもらわなくていいですよね。国家運営という重要な役割を担うんだから年収は二の次じゃないですか?」みたいなことを言っていました。
典型的なやりがい搾取的発想だったので、心の中で笑っちゃいました。
そのくらい、公務員の世界はやりがい搾取の発想が当然のように浸透しています。
キャリアアップの壁
公務員は極端なピラミッド構造になっているため、昇任するにはかなりの狭き門をくぐることになります。
超絶優秀な一握りの人材…とまではいかなくても、普通に優秀な人はいっぱいいます。
しかし、その一握りになれなければその他大勢扱い(その他大勢の中でちょっとだけ上)であり、出世できずに終わってしまいます。
そして、ちゃんと優秀な人がそこそこレベルの人と同程度(またはちょっとだけ上)という給与でありながら、そこそこレベルの人以上の仕事を任されてしまうのです。
優秀な人に仕事が集中する…というのはよく聞く話ですよね。
優秀だというなら、仕事が集中するというなら給与を上げるべきです。
でもそれをやらない(できない)。
それが公務員です。
やりがい搾取を受けないための対策
では、やりがい搾取を受けないためにはどうしたらよいのでしょうか。
割に合わない仕事は引き受けない
やりがい搾取を受けないようにするためには、割に合わない仕事は引き受けないということも大事です。
あなたの周りにもいませんか?必要最低限の仕事しかしないような人。
そういう人って、周りからは「仕事をしない人」と思われており、組織からも評価されていないでしょう(だから出世もしていない)。
でもその考え方自体がやりがい搾取なのです。
やるべきことをやらないのは問題ですが、やるべきことを確実に遂行しているのであれば、問題ない上に、やりがい搾取から逃れることができます。
それ以上のことを求めるのであれば、それ相応の対価を支払うべきです。
(相応の対価というのは残業代だけではありません。基本給自体を相応の対価にすべきです。)
対価が支払われないのであれば、対価以上の仕事をしない人を責める権利は誰にもありません。
転職する
やりがい搾取は組織風土という側面があるため、転職するのも一つの方法です。
残念ながら公務員は、やりがい搾取を積極的に受け入れるような人が出世する世界です。
そして、それをおかしいと思っていない人もまた多い世界であるため、やりがい搾取から逃れようとすると、単純に「仕事しない」「やる気がない」人という評価を受けてしまいます。
公務員の世界で働きながら、やりがい搾取を受けずに出世を目指すのは至難の業です。
出世欲があり、かつやりがい搾取を受けたくないのであれば転職するのがベストでしょう。
わざわざやりがい搾取するような組織に身をおいて、ひたすら搾取され続ける必要はありません。
まとめ:労働には対価が支払われるべき
以上、やりがい搾取とは何かということ、そして公務員はやりがい搾取を受けやすく、やりがい搾取を受けないためにはどうすればよいかということについて触れてきました。
確かに、金銭に代えられない価値というのは存在していると思います。
しかしそれは、自分で自分の責任を取るような仕事、例えばフリーランスや経営者といった人たちには当てはまりますが、会社勤めの人には当てはまりません。
なぜなら、給与を受け取る対価として労働を提供しているのですから、給与が支払われないのであれば、労働を提供する理由がありません。
「対価」というくらいですから、給与と労働は「対等な価値」なのです。
自分が安く買い叩かれていないか、よく考えてみてください。
あなたにはもっと価値があるんですから、対価に見合わない労働はせず、その時間を自分のために使ってほしいと思います。
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