鷹です。
30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。
優秀と言われている人ほど公務員を辞めているという印象はありませんか?
「優秀」という定義は人それぞれですし、公務員を辞めた人の人事評価が公表されているわけではありませんので、「優秀な人ほど公務員を辞めている」という客観的な情報はありません。
ただ、私自身、公務員として勤務しているとき「え!あの人が辞めちゃうの?(組織にとって)もったいない!」というシーンに何度も出会ってきました。
そして今現在でも、公務員時代の友人(特に人事担当者)から「優秀な人に限って辞めちゃうんだよね」という言葉を聞くことがあります。
客観的な情報はなくても、多くの人が「優秀な人ほど公務員を辞めている」と感じているのは事実です。
では、どうして優秀な人は公務員を辞めてしまうのでしょうか。
優秀な人の特徴
まず、「優秀な人」とはどんな人であるか、その特徴を解説します。
能力・スキル面
能力・スキル面では、以下のような特徴を持っています。
- 高い学習能力と適応力: 新しい知識や技術を素早く習得し、変化する状況にも柔軟に対応できます。
- 問題解決能力: 複雑な問題に対して、論理的に考え、効率的な解決策を導き出すことができます。
- 高いコミュニケーション能力: 上司や同僚、顧客など、様々な人々と円滑にコミュニケーションを取り、協力することができます。
行動・姿勢面
行動・姿勢面では以下のような特徴を持っています。
- 強い責任感: 与えられた仕事に対して責任を持ち、最後までやり遂げます。
- 主体性: 指示を待つだけでなく、自ら考え、行動し、課題を発見し解決します。
- チームワーク: チームの一員として、協力し、目標達成に向けて貢献します。
- 成長意欲: 常に自己成長を目指し、新しい知識やスキルを習得しようとします。
- 柔軟性: 固定観念にとらわれず、新しいアイデアや意見を受け入れることができます。
- ストレス耐性: 困難な状況でも冷静さを保ち、パフォーマンスを維持できます。
優秀な人が公務員を辞める理由
このような特徴を持つ優秀な人ですが、どうして公務員を辞めるのでしょうか。
考えられる理由は次の5つです。
- 世間に通用するスキル獲得の機会不足
- 給与や待遇への不満
- 現代に取り残された職場環境
- 将来性への不安
- 自己実現の追求(副業等の社外活動含む)
以下、一つずつ紹介します。
世間に通用するスキル獲得の機会不足
優秀な人材は常に自己成長やキャリアアップ・スキルアップに努めています。
しかし、公務員の職場では、
- 世間とはかけ離れたツールでの業務遂行(紙管理、デジタルツールへの理解不足等)
- 年功序列的な評価基準が強く、大して業務成績が良くない先輩の方が立場も給料も上
- 昇進や新しいプロジェクトへの参加機会が制限されている
- 公務員(お役所)文化という特殊な環境
という環境が見られます。
官公庁もDXを強く押し出してはいますが、現場の意識はまったくです。
紙管理は当たり前、デジタルツールもほとんど知らない、オンライン会議を提案すれば「会ってやればいいじゃん」で終わり。
年功序列などの古い体制は、国も地方も改善しようと取り組んでいますが、当面劇的な改善は見られないでしょう。
お役所というのは失敗が許されないため、あらゆる取り組みに対して慎重にならざるを得ず、どうしてもスピード感に欠けてしまいます。
また、お役所文化というのは特殊です。
公用文の書き方に添って一言一句のチェックを受け、ピッタリと体の整った文書を作成。
国会議員からの質問に備えて「待機」という名の残業に疑問を持たない世界。
柔軟性に欠けるこの世界では、公務員以外の世界で通用するスキルはほとんど身につきませんし、何なら目を疑うような光景もそこには当たり前のようにあります。
優秀な人は、このような環境に見切りをつけ、公務員を辞めてしまいます。
給与や待遇への不満
公務員の給与体系は、
- 年功序列的で、若手のうちは低めに設定されている
- 仕事量や残業の多さに比べて収入が見合っていないと感じる人が多い
という特徴があります。
この特徴は、優秀な人の活躍を阻害する要因となっています。
優秀な人は、今ある業務を適切・効率的に遂行し、かつよりよい方法を自分で考え、改善していくということができます。
そして自分で課題を見つけ、それを解決していくということもできます。
人より圧倒的に優秀であり、効率的に多くの仕事をこなしている人よりも、非効率的にダラダラと残業している人の方が(残業代のせいで)年収が高いということも大いに起こり得る世界です。
上位ポストへの昇任もきっちり期別管理されており、「◯年度における課長級への昇任は、✕年度以前採用者」といったように、「優秀な人」であることよりも「いつ採用されたか」の方が優先されています。
「キャリアアップの機会不足」でも触れましたが、やはり年功序列という制度は優秀な人の成長や活躍の機会を阻害する要因となっています。
国家公務員は、年功序列からの脱却や実力・能力による評価をしようと人事院が掲げていますが、おそらく簡単には実現しません。
公務員というのは身内からの抵抗勢力がとてつもなく強いのです。
能力が高い人は、もっと評価され、もっと高い収入を得られる可能性があるため、公務員を辞めて自分が活躍できる、評価される場所へと身を移していきます。
古い体質の職場環境
優秀な人は、最新情報やテクノロジーの進化に敏感で、かつそういった世間の動向に柔軟に合わせられる性質を持っています。
しかし、公務員の職場は、
- 古い慣習や保守的な体質が根付いている
- 新しいシステムやルールの導入に時間がかかる
- 新しいことに取り組もうとすると強い抵抗を受ける
という特徴があり、これらは、柔軟な思考や効率的な仕事を好む優秀な人材にとって非常にストレスとなります。
私の話になってしまいますが、私が公務員を辞めた理由の大きなところはここにあります。
世の中には業務を劇的に効率化させるツールに溢れているというのに、そもそもその存在を知らない人が多いですし、提案すれば「そんな得体のしれないもの」と否定されます。
考え方も、仕組みも何もかも古くて、そして改善の必要性を感じていない人たちの集まりです。
もちろん、一部の人はそういう体制を改善しようと奮闘していますが、そうではない人たちの方が圧倒的多数のため、実現は難しいと言えます。
とても生涯働き続けられる環境ではないと感じたのは間違いありません。
将来性への不安
世の中のテクノロジーの急速な発展により、以下のことが言えます。
- 公務員の仕事の一部が自動化される可能性がある
- 民間企業と比べて最新技術の導入が遅れがちである
例えば、生成AIをうまく活用すれば、公務員の業務の大半を占める文書作成業務にかかる時間は劇的に削減されるでしょう。
なので申し訳ないですが、お役所特有の文書作成に自信と誇りを持っている人の活躍の場はなくなります。
一方で、「民間企業と比べて最新技術の導入が遅れがち」ですので、生成AIが導入されるのには、もう少し時間がかかるでしょう。
こう言ってはなんですが、「国家公務員の待遇改善」とか言っている場合があったら、最新技術を導入して業務の効率化をしてくださいよって思います。
それだけで、圧倒的に業務自体が楽になりますから、給料を上げるということを考えなくても相応の待遇になるはずです。
ただし、公務員というのは既得特権にしがみつく生き物です。
仕事が減って残業が減ると、当然収入(残業代)が減ります。
収入が減ると困るので、わざわざ無駄な仕事を生み出して結局仕事がなくならないのです。
優秀な人材ほどテクノロジーの進化には敏感で、無駄な仕事を続ける公務員(お役所)に将来性の不安を感じて、お役所(公務員)という世界から立ち去っていきます。
自己実現の追求(副業等の社外活動含む)
優秀な人は、自分の能力を最大限に発揮できる環境を求める傾向があります。
公務員という環境では、その機会に多くの制限があります。
例えば副業。
一部認められている副業もありますが、例えば自分の持つスキルを活かしてサービスを提供するといった業務を継続的に行うことは兼業規制に抵触します。
非営利法人などの活動で報酬を得ることは認められていますが、国家公務員の場合は団体の代表(経営上の意思決定権を有する立場)になることは禁止されています。
優秀な人であれば、自身のスキルを活かして、自分の意思決定の下、様々な活動をしたいと考えることは多々あります。
公務員の世界では、優秀な人が能力を発揮する機会が制限されていますので、優秀な人は公務員を見限ってしまうのでしょう。
優秀な人にとって、公務員を辞めても問題ない理由
優秀な人たちがこのような理由で辞めていくことがわかったとしても、公務員という安定した身分を捨て去ることはリスクではないのでしょうか。
実は優秀な人にとっては、公務員を辞めても問題ないと言える理由があります。
優秀な人が公務員を辞めても問題ない理由は次の3つです。
- 能力が高いので、組織に依存する必要がない
- スキルと経験を活かすことができる
- 収入源を多様化し、給与のほかに収入を得ることができる
能力が高いので、組織に依存する必要がない
優秀な人は、組織に依存しなくてもどこでも働くことができる力があります。
そもそも優秀な人の特徴として、考え方が柔軟で、自分が持つスキルや経験をどんな状況でも活かすことができるという特徴があります。
考え方が柔軟だと、新しいことや未知のことを受け入れ、それがメリットであると判断すれば業務に取り入れて効率化していくなど、型にはまらない仕事をすることができます。
そういう考え方ができるということは、民間企業という、公務員とは180度違う文化に身を置くことになったとしても最適な行動を取ることができるということです。
どこに行ってもどんな環境でも働いて収入を得ることができるので、優秀な人は公務員を辞めても困ることはないのです。
そしてそういう人は、どんな組織からも求められるので、待遇の良い働き口も見つかりやすいという特徴があります。
スキルと経験を活かすことができる
上記で触れましたが、優秀な人はどんな環境でも自分が持つスキルや経験を活かすことができます。
柔軟性が低い人は、「公務員とは環境が違う」ということに意識が囚われ、自分のスキルや経験を新たな環境でどう活かすかということを考えられません。
どういう環境に置かれても、自分のスキルや経験を活かして仕事をしていく、という発想と行動ができるのは優秀な人の特徴です。
収入源を多様化し、給与のほかに収入を得ることができる
優秀な人は、公務員を辞めても民間企業で働きながら副業で他に収入を得ることができます。
もちろん民間企業では働かず、起業やフリーランスとして働くこともできます。
繰り返しになりますが、優秀な人は考え方が柔軟で自分が持つスキルや経験をどんな状況でも活かすことができるため、勤め先から給与を得るという方法以外の稼ぎ方をすることができます。
柔軟性が低い人は、企業に雇用され、規定された勤務時間に会社指示の業務を行うこと以外で収入を得る方法が思いつきません。
そういう人は、仮に副業をするとしても、結局アルバイトのような時間を切り売りする仕事で収入を得ようとしてしまいます。
優秀な人は自分の経験やスキルを使って、給与所得以外のいわゆる事業所得を得ることができます。
本当の安定とは、組織に依存せずに収入を得られること
公務員は安定していると言いますが、本当の安定とは特定の組織に依存せずに収入を得られることをいいます。
そのため、公務員として働いている人は、安定している環境に身を置くことができているために安定を手に入れていますが、公務員という環境を失ったらとたんに安定を失います。
だから公務員を辞めることはリスクであると考えてしまうのです。
優秀な人は、特定の組織に依存せずに収入を得ることができますので、公務員という環境を失ったところでその人の安定性は失われないのです。
だから、優秀な人は公務員を辞めても問題ないのです。
まとめ:優秀な人にとって、公務員は最適解ではない
公務員は安定した職業ですが、全員にとって最適な選択肢ではありません。
公務員を辞めてしまったら安定をなくしてしまう人にとっては生涯続けるべき職業と言えますが、公務員という立場を失っても安定性を失うことがない優秀な人は、公務員を辞めてもまったく問題ありません。
なんなら辞めた方が、より経験やスキル、そして収入を得られる可能性が高いと言えます。
だから優秀な人ほど公務員を辞めているのです。
公務員として働き続けることに疑問を感じている人、悩んでいる人は、自分の経験やスキルを見直して、組織に依存しない働き方を考えてみてもいいのではないでしょうか。
悩むことができている時点で、あなたも公務員以外の環境でも働くことができるポテンシャルを持っていますよ!
★転職活動をしてみようかなと思った方!次の記事でおススメの転職サイトと転職エージェントを紹介しています。
コメント