鷹です。
30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。
「公務員、辞めなきゃよかったかな…」
公務員を辞めたあとにこう感じてしまう人もいるかもしれません。
民間企業への転職や独立、副業の道に進む中で、思ったようにうまくいかず、公務員時代の「安定」や「社会的信用」を懐かしく感じてしまう人もいるようです。
この記事では、「公務員を辞めなきゃよかった」と後悔する理由とそういう人たちの共通点、そして後悔しないためにはどうすればよいのか掘り下げていきます。
転職を考えている現役公務員の方は、ぜひ判断材料の一つにしてみてください。
公務員辞めなきゃよかった!後悔する主な理由
まず、公務員から民間への転職で後悔する主な理由について解説します。
民間の「成果主義」や「利益追求」についていけなかった
公務員時代は、ある程度やるべき業務が決まっていて、上司の評価も比較的安定していたはず。
しかし民間では結果がすべて、そして利益を出してナンボです。
自分がかけた労働時間、生み出した成果物によって利益を出せているか?ということを常に意識する必要があります。
公務員は、必ずしも目の前の業務がそのまま何かの結果に反映されるというものではないので、プレッシャーが少ないとも言えます。
(反対に、成果が目に見えなくて、人によってはやりがいがないと感じてしまうポイントでもあります。)
「目に見える成果を出せなければ評価されない」というプレッシャーに疲弊し、「あの安定した環境が恋しい」と思う人もいます。
思ったより年収が上がらなかった
「もっと稼ぎたい」と辞めたものの、転職先が期待ほどの給与ではなかったケース。
これは単純に転職先に関する調査不足としか言えません。
入社前に、給与制度等についてきちんと説明を受けなかった、または不明点をちゃんと質問しなかった場合に、「思ったより年収が上がらなかった」と後悔することがあるようです。
また、転職時の年収だけでなくその後の昇給率も念頭に置かなければ、生涯年収という点では、転職しない方がよかったということになりかねません。
もちろん、転職理由が「年収アップ」ではない、年収が下がることは想定の範囲内という人であれば問題ありませんが、年収アップを目指して転職した人にとっては、後悔するポイントとなります。
社会的信用の低下に直面した
住宅ローンやクレジットカードの審査、賃貸契約など、“元公務員”より“現公務員”の方が信用は圧倒的に高いのが現実です。
「辞めた途端に不利になるとは思わなかった」という意見は実は多いようです。
これから自宅を購入したい(住宅ローンを組みたい)という人は、意外と気をつけておくべきポイントです。
転職後の人間関係に悩んだ
公務員は人間関係が密すぎると感じていた人ほど、民間のドライな関係性に孤独を感じる傾向があります。
業種や企業によって差はありますが、民間企業の方がリモートワークが進んでおり、対面でのコミュニケーションが少ない傾向があります。
公務員では、仕事を教わるのも対面、雑談も対面、そして飲みニケーション…という文化がまだあるので、このやり方に慣れている人は、民間企業の人間関係構築に苦労するかもしれません。
どちらの文化がいいのか…というのは人それぞれの好みにもよりますが、実は公務員の「対面文化」が肌に合っていた人は、転職後上司や同僚との距離感や職場の雰囲気が合わず、「前の職場の方が居心地よかった」となることもあります。
「辞めなきゃよかった」と後悔する人の共通点
せっかく勇気を持って転職するのに後悔したくないですよね。
どうして後悔する羽目になるのでしょうか。
公務員から民間企業へ転職して後悔する人には、実は以下のような共通点があります。
転職理由が深堀りできていない
まず何より、転職理由が深堀りできていないということが挙げられます。
誰しも仕事に不満を抱えているものです。
その不満が一体何なのか、何が原因なのか、どうなれば解決するのかを深堀りしないまま転職してしまうと、転職しても結局同じ不満を抱えることになりかねません。
ここでは、よくある深堀りできていない転職理由の2つをご紹介します。
転職理由が給料や人間関係のみ
転職理由が、給料の不満や人間関係だけの場合、転職後に後悔しやすい傾向があります。
給料の不満が転職の動機になること自体は問題ありません。むしろ普通です。
ただ、民間企業に転職すれば必ず努力と実績が給料に直結するわけではありませんし、高収入であるというわけでもありません。
また、人間関係は公務員の世界だけでなくどこにいっても起こりうる問題なので、民間企業へ転職すれば人間関係に悩まなくなるというものでもありません。
転職すれば「努力や実績に見合う給料がもらえる!」「この嫌な人間関係から開放される!」という短絡的な発想で民間企業へ転職すると、失敗してしまう可能性があります。
転職理由が漠然としている
例えば「公務員の働き方、環境に不満がある」という漠然とした理由だけで転職を決めると、民間企業でも同様の問題に直面する可能性があります。
公務員のどういう働き方、どういう環境が不満なのか。
毎日出社すること?裁量が少ないこと?利益を求めないこと?
具体的に何がどう不満なのか明確にならなければ、転職する際に何をポイントにして転職先を検討すべきかもわかりません。
ポイントがわからないまま雰囲気で「この職場良さそう」と思って転職すると、転職しても公務員と大して状況が変わらなかったり、公務員特有と思っていた問題が民間にもあるということに気付き、転職が解決策ではなかったということになりかねません。
民間企業への理解不足
次に、民間企業への理解不足が挙げられます。
新卒で公務員として働き続けていると、民間企業がどんなルールでまわっているかを身を持って知る機会はなかなかありません。
身を持って知る機会がなければ、民間企業勤務の人に話を聞く、ネットで検索するなど、あらゆる方面から情報を収集する必要があります。
それを怠ると、「想定と違った」となりかねません。
特に、民間企業全般への理解不足や、転職先となる企業自体への理解不足が致命傷となります。
民間企業全般への理解不足
民間企業と公務員では、多くの根本的な違いがあります。
例えば、
- 利益追求か公共の福祉か
- 実力主義か年功序列か
- スピード重視か正確性・確実性重視か
これらはほんの一例ですが、民間企業と公務員とではあらゆる面で違いがあります。
特に、民間企業は利益を出さなければ組織を存続させることはできませんので、成果主義やコストに対する意識、スピード感など、公務員とはまるで異なる感覚を求められます。
公務員の世界に慣れている人にとっては、事前にそういった公務員と民間企業との組織文化等の違いを理解しておかないと、転職後にこういった感覚についていけず、後悔する可能性があります。
企業に対する理解不足
例えば、とある企業で「完全能力主義」「昇給率平均年10%」といったことを謳っている企業があるとします。
当然ですが、「能力主義」と言っても、その能力をどのように測るかが重要であり、もし社長に気に入られることがその企業の評価のポイントである場合、おそらく想定とは話が違ってきます。
また昇給率平均◯%というのも、その数値が自分に当てはまるとは限りません。
平均値というのは、異常値も含めて数値が出ますので、一人ずば抜けて優秀な人が高い昇給率を叩き出せば、必然的に平均値は引き上げられます。
企業が発信する情報をそのまま受け止めてしまい、その実態をよく考察、理解しないまま転職してしまうと、後悔する可能性があります。
転職に過度の期待を持っている
・転職すれば今の悩みがすべて解決する
・民間企業なら理想を叶えられる
といった、転職に対する過度な期待を持っている人は、転職後に後悔しやすいでしょう。
もちろん、転職することで現在抱えている悩みの一部が解消する可能性はありますが、すべての悩みがなくなるということは稀です。
また、いくら公務員の世界が息苦しかったとしても、民間企業は理想郷ではありません。
民間企業にさえ行けば理想的な人生が送れるというのは思い込みです。
民間企業への転職に過度に夢見ている人は、転職後に理想が叶えられず、後悔する可能性があります。
自己分析不足
「転職理由が深堀りできていない」にも通じるものがありますが、自己分析ができていないことも、転職後に後悔する人の共通点です。
そもそもどうして転職したいのか、転職して何を実現したいのか、自分は何ができるのかといったことを転職前に明確にしないまま転職してしまうと、後悔する可能性があります。
自分が何がしたいかも大事ですが、何ができるかを明確にすることも大事です。
高い給料につられて転職したものの、仕事内容が全く合っていなかったり、自分の能力が全く発揮できなかったりすると、とてもつらい状況に陥ります。
30代後半〜40代にもなって、苦手なことが得意になることはほとんどありません。
自分が得意なこと、苦手なことが何なのかを理解しないまま転職してしまうと、後悔します。
公務員の「良さ」に気づいていなかった
常に何かに対して文句を言っているような人は、物事や人の「良さ」に目を当てず、「悪さ」ばかりに注目してしまう特徴があります。
休暇制度の充実、福利厚生、定時退庁、安定した収入…。
公務員には実は非常に多くのメリットがあります。
でも「悪さ」にばかり注目してしまう人は、離れて初めて公務員の「良さ」に気がつくことも多いのです。
現職中にその価値に気づけなかった人は、転職後に初めて後悔するという可能性があります。
公務員から民間へ転職して後悔しない人の特徴とは?
一方で、「辞めてよかった!」と笑顔で語れる元公務員もいます。
では、そうした人たちは何が違ったのでしょうか?
公務員から民間へ転職して後悔しない人の共通する特徴を見ていきましょう。
転職目的(やりたいこと)が明確だった
後悔しない人の多くは、転職目的(やりたいこと)がはっきりしていた人です。
- 「エンジニアとしてスキルを伸ばしたい」
- 「ベンチャーのスピード感の中で挑戦したい」
- 「家族との時間を大切にするために、ワークライフバランスが取れる会社に務めたい」
- 「本業の他に副業がしたい」
目的は一つではないと思いますが、その目的が達成できるように転職先を選択しています。
目的が明確であれば、多少の困難に直面してもブレずに前進できます。
市場価値を把握し、現実的な準備をしていた
- 自分のスキルが民間で通用するか
- どの業界・職種が合っているか
- どの程度の年収になるか
これらを事前に情報収集していた人は、ギャップに悩むことが少ないです。
市場分析、自己分析をしっかり行い、転職するとどうなるかということをシミュレーションします。
そのために、転職サイト、転職エージェントなどもフル活用し、しっかり地固めしていました。
公務員時代に「準備」をしていた
転職後に活躍している人の多くは、在職中から以下のような行動を取っていました。
- 副業で民間の業務を体験していた
- 資格取得や勉強を続けていた
- 業界研究や転職活動を水面下で進めていた
辞めてから動くのではなく、辞める前から備えている——これが後悔しない人の鉄則です。
覚悟と柔軟性があった
民間に出れば、仕事のスピード・責任・人間関係など、公務員時代とは違うストレスがあります。
それでも「自分で選んだ道だから」と乗り越えられるのは、強い覚悟と柔軟性がある人です。
柔軟性がある人にとっては、「想定外」の出来事であってもそれ自体が「想定内」ですし、覚悟があればどんな結果も受け入れることができます。
「思ってたのと違う」と文句を言うのではなく、「じゃあどうするか」と次にやるべきことを考えられるかどうかが分かれ道です。
まとめ:後悔する人、しない人の差は「目的」と「準備」
「公務員を辞めて後悔した人」と「辞めて正解だった人」。
両者の違いは、勢いで辞めたか、戦略的に辞めたかの差です。
しっかり準備し、明確な目的を持って選んだ転職なら、必然的に覚悟も決まり、どんな結果になっても後悔することはありません。
多少の失敗は必ずあります。
でも、後悔しないことは失敗しないことではありません。
失敗はあるものとして、その失敗を受け入れる覚悟があるかどうか、そのために準備してきたかどうか、ただそれだけです。
私は、覚悟を持って転職しようとしているあなたを応援します!
★まだ転職なんて…と思っているなら、無理に転職する必要はありません。でも覚悟ができたらいつでも転職できるように、準備だけでもしておきませんか?
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