鷹です。
30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。
民間企業で活かせる公務員のスキルについて、過去にこちらの記事でご紹介しました。

その後、民間企業で過ごす時間が経過していくことで、他にも民間企業で役に立つ公務員の「名もなきスキル」があるということに気が付きました。
今回はそのスキルを2つご紹介します。
1年単位で新規業務を覚え、課題を把握し、自分のものにしていくスピード感
公務員時代の仕事の仕方
公務員時代は、年に一度定期人事異動がありました。
必ずしも毎年「異動」するわけではありませんが、異動しなくても同じ係内で業務は必ず変わっていました。
同じ業務を2年連続担当する…ということがほとんどないのです。
一年で担当業務が変わってしまうので、ひとつの仕事を覚えるのに数ヶ月もかけていては話になりません。
基本的には1〜2週間で業務の概要を把握し、以降全て自分の判断で業務をまわしていくことになります。
もちろん、こんな短期間で全てを把握しきることはできないので、随時前任者へ確認はしますが、あくまで「確認」であって、責任は自分にあります。
そうやって引き継いだ業務の概要を1〜2週間のうちに把握し、前年から残っている課題に対してどういう対策を取るか、それがこの一年の間に実現できるのか来年に持ち越すのか、そのために今年は何を実施するのかなどを考え、実施し、そして一年後、後任者へ引き継ぐのが、公務員時代の仕事の仕方でした。
公務員時代と同じスピードで業務をこなしたら驚かれた
このように、担当業務の概要を把握するのに1〜2週間あれば十分、そして一年間でどれだけの成果を上げるか、という仕事の仕方をずっとしてきました。
その感覚のまま、転職後、「説明する準備と時間がもったいないでしょうから、とりあえずまるっと投げてください。そしてわからないことがあったらこちらから質問します」とチームメンバーに伝えても、「いや、そうは言っても…(そんなの無理でしょ)」といった反応で、全然仕事をおろしてくれません。
実は途中で、上司に対して少しそれを愚痴ったことがあるのですが、そのときは「ちょっと焦りすぎなんじゃないかな」と、むしろ諌められました。
なので最初はかなり悶々としていましたが、ほんの少しだけ振られた仕事からその仕事の全体像やポイント、やるべきこと、課題等をたぐり寄せ、自分からどんどん意見出しするようにしていたら…
さすがの上司も驚き「キャッチアップ早いね。いや、ここまでとは…」と言葉を失っていました。
そして入社から半年が過ぎた人事評価では、この半年間で自分がやったこと、把握した課題、それに対する対応策…などを自己評価に記載して提出したですが、上司からは「入社して半年の人が書く内容じゃない。もうベテランの域だよ。」と言われました。
これは、「私ってすごいんです」ということを紹介したいのではありません。
公務員時代に普通にしていたことです。
公務員時代、私の周りではそれが普通でしたし、そういう人たちばかりでした。
民間企業だからなのか、私が転職した先がそうなのかはわかりませんが、少なくとも私が転職したこの会社では、公務員時代のこのスピード感はめちゃくちゃ評価されました。
財務会計の知識
私は公務員時代、税務の仕事に携わる機会がありました。
なので自主的に簿記2級も取得しましたし、業務において財務会計を学ぶ機会にも恵まれました。
民間企業では、営業や経理でなければ直接会計処理にタッチすることはありません。
しかし、自分が担当する案件の売上はどうか?原価はどうか?という視点は常に求められますし、それが「いつ」計上されるのかもチェックされます。
チームメンバーは全体的に会計処理には明るくなく、自分に関係することだけかろうじて理解している…という状況です。
部署の売上を管理、把握する上司は当然会計処理について理解していますが。メンバーがあまり理解していないので、ちょっと困っているくらいでした(話が通じない…的な)。
でも私は簿記も持っているし前職で税務の経験もあるので、会計処理の基本は把握しています。
「会計知識がある」という点は、確実に民間企業で役に立つのだとはっきりわかりました。
【番外編】公務員時代には絶対触れることのない知識「管理会計」
民間企業に入って、初めて触れたのが「管理会計」です。
管理会計とは
管理会計とは、企業の経営者がより良い意思決定を行うために、企業内部の情報を分析・評価する会計手法です。
【管理会計と財務会計の違い】
区分 | 管理会計 | 財務会計 |
---|---|---|
目的 | 経営内部の意思決定に役立てる | 外部への情報開示(投資家、債権者など) |
対象 | 企業内部の部門、製品、顧客など | 企業全体 |
法規制 | 任意 | 法律で定められた基準がある |
期間 | 短期的な視点(月次、四半期) | 長期的な視点(年次) |
情報の性質 | 詳細かつ将来予測を含む | 簡潔で過去の事実を記録 |
このように、管理会計は、経営の意思決定に役立てるために、「現在」や「未来」を見ています。
一方で財務会計は、既に確定した過去の会計です。
公務員は、「経営」という概念がありません。
基本的に「支出(歳出)」しかなく、しかもその金額は国会等で確定しているので、その年度中に大きく変動するということがありません。
ですので、「管理会計」の概念もないのです。
公務員時代には絶対に触れることがないので、わからない!でも…
民間企業に転職して早速、その期の活動目標について説明を受けましたが、この「管理会計」特有の単語がたくさん出てきて、最初は全く理解できませんでした。
でも別に難しい話ではありません。
ネットで検索すれば単語の意味くらいすぐにわかりますし、財務会計を理解しているので、管理会計もそう時間もかからず理解することができました。
もちろん、そのために自分で勉強はしましたが、それだけのために何十時間と時間を費やす必要はありません。
「財務会計」の知識がここで役に立ちました。
まとめ:名もなき「スキル」があなたを救う!
「名もなき家事」という言葉がちょっとバズりましたよね。
ゴミ捨て…といえば、大袋に入ったゴミ袋をごみ集積所に持っていくことと思っている男性が多いようですが、ゴミを捨てるためには、
- ゴミ捨てしやすいように、普段からごみの分別をしておくこと
- ゴミの種類に合わせたゴミ袋を準備しておくこと
- ゴミの収集曜日や時間を把握しておくこと
- 家中のゴミを大袋にかき集めること
- ゴミの収集曜日や時間に合わせて、ゴミを集積所に持って行くこと
- 家中のゴミ箱に新しいゴミ袋をセットすること
などなど、「ゴミ捨て」の周りには様々な小さな作業があるのです。
これらは「名もなき家事」と言われ、「家事」としての認識が薄いために家事分担の際に考慮されづらく、家庭の中で特定の人物(多くの場合、妻や母親といった女性)に偏ってしまうものです。
今回紹介した「名もなきスキル」は、「名もなき家事」と考え方は似ており、特定の「スキル」として認識されづらい特徴がありますが、業務遂行に必ず影響を及ぼすスキルです。
今回紹介したスキル、その中でも特に「1年単位で新規業務を覚え、課題を把握し、自分のものにしていくスピード感」はまさにこれです。
公務員であれば多くの方がスキルとして身につけているはずです。
職務経歴書でしっかりとアピールすることで、未経験というビハインドを上回るメリットを感じてもらえる可能性があります。
ぜひ、自分の仕事の仕方、スピード感など振り返ってみてください!
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