【厳禁】公務員が他人名義で副業をすることの危険性!バレるとどうなる?

30代後半公務員の転職

鷹です。

30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職しました。

その後40代になってから民間企業へ転職しました。

いろんな経験、いろんな悩みを経て民間企業へ転職することを決断し、そのおかげで今は充実した日々を送っています。

自分の転職経験を基に、転職したい、今の仕事を辞めたいと考えている30代公務員のお悩み解決のお手伝いができればと思っています。

国家公務員でも副業できるの?

国家公務員は副業禁止だって聞くから、家族名義で副業やってみようと思ってるんだ。

ちょっと待って。たしかに国家公務員には副業の規制があるけど、他人名義でやれば規制を受けないということではないんだよ。

国家公務員の副業について

国家公務員は、国家公務員法上「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当たっては、全力を挙げて専念しなければならない」とされています。

そこで、国家公務員として守るべき服務規律の一つとして、職員の副業に関して次のとおり定められています。

国家公務員法

第103条(私企業からの隔離)
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

第104条(他の事業又は事務の関与制限)
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

国家公務員法(e-Gov)

第103条は、報酬の有無に関わらず、営利企業の役員等になること及び自営業を禁止しています。

なお、自営業については一定の条件を満たすものは所轄庁の長等の承認を得た場合には行うことができます。

第104条は、報酬を得て行う、営利企業の役員等以外の全ての兼業について、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を得なければならないとしています。

詳細は、こちらをご確認ください。

国家公務員がこっそり副業することはできる?

上記のとおり、国家公務員は法律で副業が制限されています。

そうすると「こっそり副業しよう」と考える人もいるかもしれませんが、副業は職場にバレやすいのでこれも困難です。

副業が職場にバレてしまう仕組みについては、検索すると多くの記事がヒットしますので、詳細はここでは省略しますが、要は住民税の決定通知からバレてしまうのです。

バレないように工夫することはできます(確定申告の際に、住民税を「普通徴収」にするなど)が、絶対にバレないという保障はありません。

他人名義で副業することのリスク

「自分の名前で副業するからバレるんでしょ。他人名義でやればいいじゃん!」と考える人もいるでしょう。

「公務員 副業」などでネット検索すると、「家族などの他人名義で行えば職場にバレない」という記事を見かけることがあります。

「職場にバレない」という点だけを捉えると、バレずに済む可能性は高いですが、他人名義での副業は次のような大きなリスクをはらんでいることをよく理解してください。

確定申告で虚偽申告をする必要性

仮に、とある男性国家公務員が、妻(非正規雇用)名義で何かしらの副業を行い、そこで得た利益を本人のお小遣いとして消費しているとしましょう。

職場にバレないように妻名義で副業をしているので、当然確定申告も妻名義で行うこととなります。

ただし、ここで注意が必要なのは「実質所得者課税の原則」です。

所得税法

第12条(実質所得者課税の原則)
資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。

所得税法(e-Gov)

つまり、副業で生じた利益は、「単なる名義人」には帰属せず、その利益を実際に享受する人に帰属することとなります。

上記の仮定では、国家公務員である本人が妻名義で副業を行っている=妻は単なる名義人であり、利益は、お小遣いとして消費している本人に帰属すると考えられます。

なので本人に帰属するにも関わらず本人名義で申告せず妻名義で申告することは、虚偽申告に当たります。

なお、「確定申告しない」ことは脱税に繋がりますので、どのような方法にせよ、利益を得たら必ず確定申告してください

法律上は、それが違法行為によって得られたものであっても所得として認定され、確定申告が必要となっています。

税務調査でバレる可能性

仮に、虚偽申告を行って税務署からも特に指摘を受けずに数年が経過していたとしても、利益を得ている場合、いずれ税務調査を受けることになると思います。

税務調査を受ける場合、妻名義で申告している以上は税務調査を受けるのは妻であり、調査の際、税務職員への説明も妻が行う必要があります

事前に妻と完璧な口裏合わせをしておかなければ、税務調査で必ずボロが出ます。

なお、税務職員には守秘義務がありますので、税務調査であなた本人の副業がバレたとしても、それをあなたの職場に報告される可能性は低いと言えるでしょう。

修正申告(期限後申告)が必要となる可能性

税務調査の際、妻と完璧な口裏合わせを行って税務職員を欺くことができたらいいのかもしれませんが(いいのか?)、税務職員を完璧に欺くことができる人というのはほぼ皆無だと思います。

なぜなら、税務職員は非常に優秀で、事業や税に関して真正面から質問するばかりではなく、雑談がてらに様々な情報を聞き出し、周りを固めた上で本題の質問をしますので、つじつまの合わない回答にはすぐ気が付きます。

例えば、

税務職員:お忙しいところ調査のお時間をいただいて、ありがとうございます。お子さんもいらっしゃって大変ですよね。毎日どんなスケジュールで過ごしていらっしゃるんですか?

妻:普段は、朝6時に起きてお弁当と朝ご飯作って保育園の準備して8時半頃に子供を保育園へ送っていますね。その後パートに出て午後3時頃に帰ってきて子供を迎えに行っています。その後お買い物、夕飯作り、洗い物、洗濯などしていたらあっという間に夜ですね。今日は母に子供を預けていますので大丈夫ですよ。

税務職員:そうですか。大変ですね。

ーー(中略)ーー

(税務調査が進んでいき…)

税務職員:ところで、普段お仕事(※副業のこと)はいつされているんですか?

妻:えっと…毎日夕方くらいでしょうか。

税務職員:夕方はお子さんをお迎えに行って、買い物、夕飯作りなど家事であっという間に夜になるという話でしたよね?

妻:ああごめんなさい。朝だったかな。

税務職員:朝はお子さんを保育園へ送ってパートに行くんじゃなかったんですか?

妻:早起きしていて・・・

税務職員:毎朝6時に起きて朝の準備をしているんじゃなかったんですか?

妻:・・・

など。

嘘をつくと、その嘘を成立させるために嘘をつくことになり、どこかでボロが出ます。

また、そもそも事前に様々な資料や情報を把握した上で調査に来ていますので、そういうところからも虚偽の説明は見抜かれます。

では、虚偽申告がバレたらどうなるのか?

考えられることは2つあります。

・「来年の申告から正しく行ってください」という指導を受けて終わる。

・これまで虚偽申告を行った年分全てについて、あなた本人で申告し直す(妻の申告は更正の請求で減額する)

1つ目については、あなた本人で申告を行っても妻が申告を行っても税額が変わらない場合に、このような指導を受ける可能性があります。

名義の違いはあれど払うべき税金は払っているので、それをわざわざ訂正する方が手間だと考えるからです。

問題なのは2つ目です。

今回の仮定は、国家公務員であるあなたが行っている副業について、非正規雇用の妻の収入として申告しているという設定です。

この場合、あなた本人が申告を行うよりも名義で申告を行った方が税額が安く済んでいる可能性があります

日本は累進課税制度を採用していますので、所得が高い人ほど税率が高くなっています。

例えば、国家公務員であるあなたの税率が23%、非正規雇用の妻の税率が5%である場合、副業利益100万円(仮)をあなたが申告すると税額は23万円、妻が申告すると5万円となり、その差は18万円となります。

本来は23万円を納るべきところ、妻で申告することでたったの5万円で済ませているということになります。

この場合は、あなた本人の名義で申告して23万円を納める(妻は、更正の請求で5万円還付する)ことを慫慂(しょうよう)されるでしょう。

修正申告又は期限後申告で納る税金には過少申告加算税又は無申告加算税が賦課されますので、単純に23万円を納ればよいのではなく、この税額にプラスαの税額を納めることとなります。

しかも、あなたの収入ではなく妻の収入であるかのように偽った行為について、「仮装隠蔽」を行っていた場合、さらに税率の高い重加算税が賦課されることがあります。

社会的な信用失墜

これは職場にバレたあとの話ですが、服務規律に反して副業(兼業)を行っていたことがバレたら、当然処分の対象となります。

処分の重さは諸々の事情を加味して決まりますので、「どういう副業をしていて、どのくらいの利益を得ていたらこのくらいの処分」といったことはわかりませんが、兼業に係る服務規律違反についての標準的な処分例は戒告又は減給となっています。

ただし、これは標準的な処分例であり、「他人名義で兼業(副業)を行い、その実態を隠蔽しようとした」となると悪質性が高いとしてより重い処分となる可能性もあります。

身分保障されている国家公務員が他人名義で副業を行っていた、しかもその実態を隠蔽しようとしていたとなると、社会的な信用は失墜するでしょう。

経済的な損失

減給処分となった場合は、その月(期間)分は給与が減額されますので、その分経済的な損失を被ることとなります。

懲戒処分を受ければその後の昇給・昇格にも影響が出ますので、国家公務員として勤務し続けた場合の生涯賃金が減ってしまうことにも繋がります。

せっかく副業で利益を得たというのに、本業の給与が減少してしまっては本末転倒です。

公務員が副業する際の正しい方法

では、国家公務員が副業をするには、どのような方法があるのでしょうか。

兼業許可申請

最初に触れましたが、国家公務員が報酬を得て事業等に従事する場合(兼業する場合)は、所轄庁の長に許可を得る必要があります。

副業したければ、真正面から兼業許可申請を行いましょう。

ただし、そもそも「職務の公正な執行の確保」、「公務の信用の確保」、「職務専念義務の確保」という観点から許可制を取っていますので、許可されるのはこれらが保てる事業に限られますし、その判断は所轄庁の長に委ねられています。

「時間外に副業に従事すればそれだけ休息時間が減り、本業でベストパフォーマンスが出せない。だから副業は許可できない」と判断する所轄庁の長がいてもおかしくありません。

(むしろ、今はまだこちらの考え方を取る人の方がスタンダードです)

しかし、現時点では、国家公務員が副業を行うための正攻法は兼業許可申請しかありません。

民間企業へ転職する

「公務員が副業する際の・・・」と言っていながら、もはや国家公務員を辞めるという話です。

国家公務員の方が、兼業許可申請では許可がおりない副業(兼業)をしたいと考える場合、または職場へ申請をせずに副業をしたいと考える場合は、はっきり言って民間企業へ転職すべきです。

今の世の中、

・自分の将来・老後について会社は面倒見てくれない

・会社からの給与以外の収入を得ることが必要

といったことが声高に言われていますが、国家公務員は、国家公務員法及び人事院規則で身分が保障されています。

人事院規則11−4(職員の身分保障)

第2条
いかなる場合においても、国家公務員法第二十七条に定める平等取扱の原則、同法第七十四条に定める分限の根本基準及び同法第百八条の七の規定に違反して、職員を免職し、又は降任し、その他職員に対して不利益な処分をしてはならない。

このように定められていますので、例えば世の中が不景気だから、税収が減ったからといった理由でクビになることはありません。

また、国家公務員は退職手当制度がしっかりしていますので、今後法律が改正されて多少退職手当の額が減少したとしても、退職手当そのものがなくなる可能性は低いでしょう。

民間企業勤務の人は、ここまで強力な身分保障がありませんし、またここまでしっかりした退職手当制度がある企業も少ないので、自分の身は自分で守る必要があります。

国家公務員として定年まで勤務するつもりであれば、経済的な不安はありませんので、法を犯してまでこっそり副業することはおすすめしません。

ただし、定年後も何かしらの仕事を続けたいと考えている場合は民間企業への転職を真面目に検討した方がよいと言えます。

国家公務員として定年まで勤め上げても、必ずしも現役時代の経験を活かした仕事に就けるとは限りません。

約40年間心身ともに苦労して頑張ってきた経験が全く活かせないというのはとてもさみしいことです。

現役時代に副業でスキルを身につけておき、定年後もそのスキルで収入を得られるような準備をしておくためには、民間企業へ転職することを検討したほうがよいでしょう。

副業は隠し通せない

私は国家公務員として勤務していた中で、税務調査の仕組みや裏側を知る機会に恵まれました。

少なくとも税務署にはバレます。

税務調査の結果、修正(期限後)申告することになったら、ご自身の住所を所管する市役所・区役所にも通知が届きます(住民税の額を変更するため)。

あなたが勤める職場にまでバレるかどうかはわかりませんが、税務職員にバレた以上は、あとはどこから職場に情報が入ってくるかわかりません。きっとヒヤヒヤすると思います。

国家公務員という守られた身分で、法に反して副業をして、しかもそれを隠すために他人名義を使う…。その行為が公になったときに被るリスクを考えると、とてもおすすめできません。

ちなみに私は民間企業へ転職してから副業を始めました。

その理由は、生涯現役で働き続けたいと思っているからです。

生涯現役で働き続けるためには、定年後も役に立つスキルを現役時代に身に着けておく必要があり、それは仕事でスキルを身につけるか副業でスキルを身につけるかの二択だと考えました。

残念ながら国家公務員の場合、専門職以外の職種(事務職など)では、お役所以外で役に立つスキルというのは身につきづらいです。

そう考えたとき、国家公務員のまま働き続けることはリスクだと考えました。

今はまだほとんど収入はありませんが、少しずつスキルアップしている感覚がありますし、当然バレたらどうしようという不安もありません。

精神衛生上、とても健康的に副業に取り組めていますので、どうしても副業したいなら、民間企業へ転職するのはおすすめですよ!就業規則の制約はあるものの、法律に反することはありませんし、何より定年後の不安が減りました。

まとめ

国家公務員が他人名義で副業をすることのリスクについて説明しました。

ただ、リスクの有無がどうということよりも、法律を守らないという行為自体を避けるべきです。

国家公務員は法律を作ったり、法律を守らせる立場にあります。その国家公務員が法律を守らないのであれば、真面目に法律を守って生きている国民がバカを見てしまいます。

国家公務員として誇りをもっているのであれば、コソコソした真似はせず、認められる範囲で堂々と兼業するか、思い切って副業が認められている民間企業へ転職して、堂々と副業を行ってほしいと思います。

★副業がしたいから転職しようかな…と思った方!次の記事でおススメの転職サイトと転職エージェントを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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