国家公務員で年収1000万円?実現可能なルートとその実態を解説

30代後半公務員の転職

鷹です。

30代後半でノンキャリ国家公務員(地方局)からノンキャリ国家公務員(本省)へ転職し、その後40代になって民間企業へ転職しました。

国家公務員で年収1000万円いくことはあるのか、また1000万円いくのは何歳くらいか、と気になっている人がいると思います。

ネットでも「国家公務員 年収」と検索すると、検索候補に「1000万」と出てくるので、検索している人も多数いるようです。

結論から言うと、国家公務員(しかも一般職)で年収1000万円超の人はたくさんいますし、その国家公務員一般職でも最短で30代半ばで1000万円いくことはあります。(実例あり)

夢のある話かと言えば…実情はちょっと異なります。

国家公務員が年収1000万円に到達するための条件

年収1000万円に到達するためには、一定の「ルート」や「条件」があります。

ここでは、年収1000万円に到達するための条件をご紹介します。

国家総合職か国家一般職か

まず、年収1000万円に一番近いのは国家公務員総合職です。

実は総合職も一般職も適用される主な俸給表は全く同じ「行政職俸給表」が適用されます。

職種によって、例えば「税務職俸給表」など異なる俸給表であることはありますが、それが総合職か一般職かで分類されることはありません。

それなのになぜ総合職のほうが年収1000万円に近いのかというと、それは昇格ペース(基本給が上がるペース)が一般職より早いからです。

これは国家公務員の謎ですが、優秀かどうかよりどの採用試験で入省したかどうかがその後の昇進(昇格)ペースを決めるのです。

もちろん、「優秀な人であればそれが一般職であろうが積極的に登用する」というような方針はありますが、所詮は「方針がある」」だけであって、実情は採用試験種で決まっています。

また後述しますが、総合職の人は残業も異常なほどに多いです。

残業すればするほど手当がつきますので、より一層年収1000万に近づきます。

どの俸給表が適用されるか

上記のとおり、国家公務員に適用される主な俸給表は「行政職俸給表(一)」ですが、それ以外にも俸給表はたくさんあります。

一括りに国家公務員と言っても様々な職種があり、そして職種によって適用される俸給表が異なります。

つまり、職種(俸給表)によって年収が変わってくるということです。

以下は、国家公務員に適用される俸給表一覧であり、平均年収と平均年齢(目安)そして年収1000万円到達年齢(目安)は生成AIに出してもらいました。

生成AIが出した情報については、そのソースや算出した根拠までは確認していませんので、どう捉えるかは自己責任でお願いします。

ただ、元国家公務員の私としては、違和感のない数字です。

俸給表名適用される人(主な職種)平均年収平均年齢(目安)年収1,000万円到達年齢(目安)
指定職俸給表事務次官・局長・審議官など幹部約1,610万円55歳前後40歳代前半~中盤(就任時)
医療職俸給表(一)国立病院等の医師・歯科医師約1,241万円48歳前後40歳前後
特定任期付職員俸給表高度専門職・特定分野の任期付約992万円45歳前後40歳代前半~中盤
研究職俸給表研究機関の研究員約850万円45歳前後50歳以降(上位職で到達)
専門スタッフ職俸給表政策情報分析官・法務専門官等約939万円45歳前後40歳代後半~50歳代
税務職俸給表税務署職員・国税専門官約700万円44歳前後50歳代後半~定年前後(管理職)
専門行政職俸給表航空管制官・特許審査官など約692万円43歳前後50歳代後半~定年前後(管理職)
公安職俸給表(二)海上保安官・入国警備官約643万円41歳前後50歳代後半~定年前後(上位職)
行政職俸給表(一)一般行政職・国家総合職約663万円42歳前後総合職:40歳前後
一般職(本府省):45歳前後
一般職(出先):定年前後または困難
公安職俸給表(一)皇宮護衛官・刑務官約596万円40歳前後50歳代後半~定年前後(管理職)
行政職俸給表(二)技能職・労務職約522万円44歳前後定年前後または困難

上記のとおり、適用される俸給表によって年収は変わります。

指定職俸給表は、職種というよりポジションに適用される俸給表ですし、一部あまり参考にならないものもありますが、基本としてはどの俸給表が適用される職種に就くかで年収が変わるということです。

都区内勤務か地方勤務か

これはいわゆる「地域手当」による差です。

地域手当とは、勤務地ごとに異なる物価や生活費の格差を補正し、特に物価が高い都市部で勤務する職員の生活負担を軽減するために支給される手当と言われています。

基本給×地域手当が支給されるため、同じ基本給であっても地域手当が大きい地域で勤務するか小さい地域で勤務するかで給与が全く異なります。

そしてこの地域手当は毎月の給与だけでなくボーナスにも反映されるのです。

東京都23区の地域手当は20%ですが、地方になると地域手当が0%のところもあります。

つまり、地域手当を除いた年収が500万の都区内勤務の人は、地域手当を含むと約600万円となり、地域手当が0%の地域で勤務する人と比べると100万円もの差が出るのです。

残業ありか残業なしか

当然ですが、残業をすれば残業手当が支給され、残業しない人と比べるとその分差が出ます。

いいか悪いかは別にして、残業すればするほど年収1000万円に近づきます。

残業の多さは部署によって異なり、繁忙部署は毎月何十時間と(場合によっては100時間超)残業します。

ここまで忙しいと、お金はばんばん貯まる、でも使う時間がないということになり、「残業代はいらないから早く帰りたい…」という事態になりますが…。

年収1000万円に近づく最短ルートは

国家公務員が年収1000万円に到達するための条件を紹介しましたが、そうすると必然的に「最短ルート」が浮き彫りになります。

上記の表で、「年収1000万円到達年齢(目安)」を表示していますが、あくまで諸々の条件を加味した結果の数値となっています。

この数字をそのまま受け止めるのでは、年収1000万円の実態を把握することは難しいでしょう。

ですので、ここでは元国家公務員である私が感じる、年収1000万円への最短ルートを紹介します。

結論、みなさんが想像する「国家公務員」で年収1000万円に一番近いのは、

①国家公務員総合職(行政職俸給表(一))×東京都23区勤務×残業多

②税務職・国税専門官(税務職俸給表)×東京都23区勤務×残業多

です。

国家公務員総合職は、上記で述べたとおり昇格ペースが早いので、若いうちから俸給表の中でも上位の号俸へ上がっていきます。

そして地域手当が最大の東京都23区勤務でありかつ残業が多ければもうあっという間に年収1000万円です。

そして以外かもしれませんが、税務職・国税専門官の東京都23区勤務も年収1000万円に近いルートです。

税務職俸給表は行政職俸給表(一)の同じ号俸と比較して金額が高く設定されており、かつ昇格ペースが早いという特徴があります。

ただし、税務署勤務では1000万円到達は厳しいと思います。

というのも、年収1000万円到達にはやはり残業が一番大きく影響しているのですが、税務署ではそこまで残業は発生しません。

国税局(または税務職が適用される状態での国税庁勤務)でかつ年間数百時間と残業する部署(限定的)に所属すれば、30代半ばで年収1000万円に到達します。

国家公務員の年収1000万円と引き換えに失うもの

民間企業だと、賃金が高い業界、業種というのが存在していますので、そういった業界、業種で働ければ、過酷な業務、長時間の残業といったこともなく普通に年収1000万円いくところもあるでしょう。

しかし、国家公務員の年収1000万円はそんな甘い世界ではありません。

年収1000万円を得る代わりに失うものもあります。

時間

当然ですが、プライベートな時間を失います。

年収1000万円に到達するには、過酷な勤務を続けることとなります。

総合職であれば昇格ペースが早いとお伝えしましたが、その中でも若い時代にバリバリ働いた人が評価され、昇任・昇格していきますので、若いうちから身を粉にして働く必要があります。

そして昇任・昇格すれば、当然責任あるポジションに就くことになりますので、一層仕事は忙しくなります。

つまり、採用されてから退職するまで、一生ずーーーっと忙しいという意味です。

忙しいと言っても「定時の範囲で忙しい」のであればいいですが、普通は忙しいと言えば残業がつきものです。

上記でも触れましたが、もはやお金を使う時間もありません。

家族がいれば、十分な生活費を与えることができるのでよい、という考え方もありますが、その家族と一緒に過ごす時間はない、ということを忘れてはいけません。

家族のために働いているという事実は変わりませんが、家族にとって、あなたはお金さえ稼いでくればよい存在でしょうか?

一緒に食事したりお出かけしたり、思い出というほどのイベントでなくても、日々を一緒に過ごすことこそが「家族」なのではないかな、と私は思っています。

年収1000万円と引き換えに、その時間を失います。

心身の健康

過酷な労働を続ければ心身の健康に悪影響を及ぼします。

以前、「科学的な適職」という書籍について紹介させていただきました。

本書でも「科学的な」根拠があるとして、長時間労働や劣悪な人間関係は、確実に人間の心身を蝕むと言っています。

公務員の世界は長時間労働なだけでなくその職務内容も関係者との調整など非常に複雑、困難なもので、本当に過酷な世界です。

家族と過ごす時間もなく、ストレスフルな世界でひたすらお金だけを稼いでいく。

そして場合によっては心身に支障をきたし、むしろ働くことすらできなくなる可能性もあります。

それは年収1000万円と引き換えに、あなたが望んでいるものでしょうか?

まとめ:金額だけ見るなら年収1000万円の実現は簡単。でもそれに値する労働なのか?

以上、国家公務員で年収1000万到達する理由や代わりに失うものについて触れてきました。

過酷な労働を続ければ、正直年収1000万円到達は簡単です。

でも、個人的には「ここまで過酷に働いて、たったの1000万円?」とも感じます。

上記で触れましたが、民間企業では賃金が高い業界、業種というものがあり、そういう企業で働けばあっさりと年収1000万円到達しますし、国家公務員と同じくらい過酷な労働をすれば、もっと高額な収入を得られます。

国家を支えるという大義名分に価値を抱いているのであればそれでよいでしょう。

でもそうではなく、「幸せに生きていきたい」のであれば、自分の時間も心身の健康も失ってまで、たったの1000万円を得るというのは、ちょっと安すぎませんか?

今は多様性の時代です。

人生において大切にするものも人それぞれ。

その中で、確かにお金も大事なので、お金を稼ぐこと自体は否定されるものではない(むしろ歓迎されるもの)ですが、願わくば、お金も、家族も、時間も、健康も全部手に入れられた方がいいですよね。

残念ながら、国家公務員では全てを手に入れることはできません。

民間企業で働く、起業する。

その方が全てを手に入れる可能性が高まります。

少しでも他の道が気になったなら、一歩踏み出してみませんか?

まずは、どんな仕事があるかどうか見てみるだけでも世界が広がります。

「思い立ったが吉日」

今日があなたにとっての吉日になることを祈っています。

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